2024年11月全国の繊維倒産集計

件数が大幅減となり、負債額とも今年最少

発生件=18件

負債額=35億1800万円

2024年(令和6年)11月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は18件で、前月比16件(47.1%)減、前年同月比14件(43.8%)減少した。

負債総額は35億1800万円で、前月比は7億800万円(16.8%)減、前年同月比は23億9700万円(40.5%)減となった。

負債額10億円以上の大型倒産は(株)三幸(愛知県蒲郡市、寝具卸、負債額14億円)1社、同5億円以上は(株)フオルテシモ(神戸市灘区、紳士・婦人服ほか小売、負債額5億円)1件、その他は大半が少額倒産で、件数、負債額とも今年最少となった。

(株)三幸は布団カバー、敷パット、シーツ、布団、クッションなどを扱い、綿混のプリント生地による自社企画商品を主力にOEMも手掛け、中国、インドネシアの傍系工場で生産し、量販店、問屋ほかに販売していた。1990年代から増収基調となり、近年も売上は維持していたものの、利益は期毎に大きく変動、2019/1期は過去最高の売上高29億9657万円を計上しながらも6217万円の赤字決算だった。2022年頃から実質休眠に近い状態となり今年3月31日解散し、特別清算を申請した。 

当月28日、東証プライム上場繊維・フィルムメーカーのユニチカ(株)(大阪市中央区)が㈱地域経済活性化支援機構による再生支援が決定した旨を発表。あわせて、金融機関に約430億円の債権放棄を依頼するとともに同機構を割当先とする第三者割当増資により約200億円を調達すること、不採算となっている衣料繊維事業、不織布事業、産業繊維事業から撤退することを発表した。

また同日、同上場の(株)ワールド(神戸市中央区)は繊維商社の三菱商事ファッション(株)(東京都港区)を完全子会社化する旨、発表した。

ユニチカ(株)は1889年尼崎紡績として創業し、大日本紡績当時には鐘紡、東洋紡と並び「三大紡績」として知られた老舗で、かつては国内繊維企業を代表する存在だった。三菱商事ファッション(株)は三菱商事(株)(東京都千代田区)の100%子会社で、同社傘下の繊維企業との合併や同社の繊維事業を承継して規模を拡大した同社繊維事業の中核企業である。

昨年、祖業の紡績・繊維事業から撤退したダイワボウHDに続き、紡績の名門ユニチカ(株)と三菱商事(株)グループが繊維事業から実質撤退することを決めたことは業界に与える衝撃も大きい。

これらを受け、繊維業界では企業統合やM&A、事業の譲渡・承継などが加速度的に進むことも考えられ、業界全体の再構築が始まる中、中小・零細企業が淘汰の波に飲み込まれる可能性もある。 業種別では「小売商」8件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」5件、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」「その他」各2件、「寝具・インテリア製品製造卸」1件。原因別では「業績ジリ貧」16件で89%を占め、「業況急変」2件。