2024年5月全国の繊維倒産集計

件数は低水準だが、大型倒産が2件発生して負債額は大幅増

発生件=31件

負債額=91億3100万円

2024年(令和6年)5月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は31件で、前月比7件(29.2%)増、前年同月比11件(55.0%)増加した。

負債総額は91億3100万円で、前月比は48億6500万円(114.0%)増、前年同月比は12億200万円(15.2%)増となり、2023年以降では同年3月の123億5900万円、今年3月の115億900万円に次いで3番目だった。

負債額10億円以上の大型倒産は(株)平河(旧商号:㈱鈴乃屋、東京都千代田区、呉服ほか小売、負債額33億7900万円)、(株)藤丸(北海道帯弘市、百貨店、負債額25億3900万円)の2件、同5億円以上は(株)ピーナッツファーム(大阪市中央区、スポーツウエアほか小売、負債額7億5000万円)1件。

(株)平河は「鈴乃屋」の店名で、きもの専門店を多店舗展開し、ピーク時には全国で200店舗以上を運営して1988/3期は年商617億円を計上していた。1990年代以降は和装需要の減退とともに売上は下降線を辿り、不採算店舗の閉鎖が続いて2010年代には年商100億円台に落ち込んでいた。さらにコロナの影響も重なって2020年から30億円台の年商規模に下落したため、金融機関の支援を得ながらスポンサー企業を摸索。今年3月18日他社との間で資本業務提携契約を締結し、同社新設の新会社に事業譲渡した直後、自己破産を申請した。当社は当初、会社分割前の支払手形、買掛金等は支払うとしていたこともあり債権者は314名に上った。

(株)藤丸は1900年に北越呉服店で創業して1930年業態転換した老舗百貨店で、ピーク時の1992/8期は年商145億7300万円を計上した。しかし、2000年代に入ると減収基調に転じて収益が悪化。近年も業況は好転せず2022/8期まで8期連続の赤字決算となる厳しい経営が続いていた。

また倒産ではないが、鹿児島県内と宮崎県内で百貨店4店舗を展開している(株)山形屋は、5月28日開催の債権者会議で事業再生計画が合意され、事業再生ADRが成立した。

繊維業界の店頭はインバウンド需要のある都心部の百貨店やSPAなど、一部大手は活況が続いているものの限定的で、中小・零細の多くはコロナ規制が緩和された後も業績の回復は遅れている。店頭で値上げが繰り返され、生活防衛から買い控えの動きが見られる中、繊維製品もそのあおりを受けている。前述の3社もインバウンド需要を期待できない呉服と地方百貨店で、かつての業界大手や地元の老舗・優良企業でさえも厳しい経営環境に晒されていることが裏付けされる形となった。

業種別では「小売商」13件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」7件、「その他」4件、「染色整理・特殊加工」3件、「織物卸」2件、「織物製造」「寝具・インテリア」各1件。 

原因別では「業績ジリ貧」28件で90%を占め、「業況急変」2件、「貸し倒れ損失」1件。