2025年8月全国の繊維倒産集計

負債額は前月比、前年同月比ともに増加

発生件=34件

負債額=150億4600万円

2025年(令和7年)8月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は34件で、前月比は11件(24.4%)減、前年同月比では1件(3.0%)増となった。負債総額は150億4600万円で、前月比では6億1500万円(4.3%)増、前年同月比では104億1500万円(224.9%)の増となった。

負債額10億円以上の倒産は(株)N企画(前橋市、日用品雑貨ほか小売、負債額30億円)、スタイル(株)(東京都墨田区、かばん・袋物製造、負債額21億5000万円)、(株)NCITL(東京都渋谷区、婦人服卸、負債額18億円)、(株)ジェニイ(大阪市中央区、子供服製造小売、負債額15億円)、(株)ミエル(実質本社:仙台市若林区、紳士カジュアルウエア製造ほか、負債額12億円)の5件、同5億円以上は4件発生した。

倒産件数は前年を上回る推移であり、大型倒産の発生多発で負債額は2020年5月の202億8700万円に次ぐ高水準となり、1~8月時点で2023、2024年年間負債総額を超えており、コロナ明け最高額は確実である。

当月は、バッグを主体に扱い、ピーク時の2005/8期には年商90億6328万円を計上していたスタイル(株)や、子供服SPAとして全国のショッピングセンター内に店舗を構えるほかECや専門店への卸売りを手がけ、ピーク時には2012/7期には年商43億円を計上していた(株)ジェニイなど一時好調企業として注目されていた先の破たんが相次いだ。

大型倒産ではないが、トップクラスの老舗ニットメーカーであった(株)南沢テキスタイル(新潟県五泉市)もピーク時には1983/2期には年商57億3400万円を計上していたが、直近では3億円台まで落ち込み、赤字決算が慢性化し破たんに至っている。

繊維業界は引き続き猛暑対策商品は好調ながら、残暑が続き秋物商品の本格化が後ろ倒しとなり、セールシーズンも終わり、売上不足に陥る流通業者が出ることも予想される。

今年度は過年度に事業を停止していたものが、特別清算を行うなど債務整理型の倒産が見られ、引き続き過剰債務で金融機関の支援を得られずに破たんするケースが増加するものとみられる。

業種別では「小売商」15件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」9件、「その他」7件、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」2件、「織物卸」1件。  原因別では「業績ジリ貧」30件で88.2%を占め、「業況急変」4件。