2025年10月全国の繊維倒産集計

負債額は前月比、前年同月比ともに増加

発生件=36件

負債額=131億900万円

2025年(令和7年)10月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は36件で、前月比は4件(10.0%)減、前年同月比では2件(5.9%)増となった。負債総額は131億900万円で、前月比では90億1200万円(220.0%)増、前年同月比では88億8300万円(210.2%)の増となった。

負債額10億円以上の倒産は、(株)阪神服装(兵庫県西宮市、婦人服ほか製造、負債額62億6200万円)、TS(株)(東京都港区、寝具製造、負債額18億円)の2社、5億円以上は(株)ユニカ(広島市西区、婦人服ほか卸、負債額7億9200万円)、(株)三松(東京都大田区、婦人服・洋品小売、負債額5億3000万円)、(株)ライム(大阪府堺市西区、カジュアルウエア製造小売、5億円)の3社。

(株)阪神服装は、婦人服ほかのOEM生産を手掛け、アパレルや繊維商社に受注基盤を築き、近年は年商15億円前後で推移していた。しかし、2020年頃からは新規取引先の開拓強化、雑貨、制服、白衣など扱品を多様化させ、国内外で生産拠点も拡充し、それに伴い2022/5期で18億7369万円だった売上は2023/5期37億8773万円、2024/5期90億1766万円と急拡大。さらに2025/5期は既存先との取引深耕もあり前期比で2倍以上の232億8799万円まで上伸し、一部では動向が注目されていたが、資金繰りなどに問題を抱えていたところ、突然の破たんとなり、業界でも大きな話題となった。

当月は高市新総理が誕生、国内経済や外交にも大きな影響を与え、10月27日日経平均は初の5万円を、31日には5万2000円を突破した。為替も150円を大きく超えてドル高・円安が進行。高市新政権の経済対策への期待感は高まるが、円安により今後も輸入物価を押し上げ、食料・エネルギーを中心に物価高は長期化の様相を呈している。輸入主体の繊維業界などは引き続き仕入価格の上昇により企業収益への影響も懸念される。

倒産件数は前年比増加傾向で、小規模企業の破たんが高位を維持しており、12月までこの状態が続くものと見られる。2025年度の負債総額は1000億円を超える可能性もあり、企業経営を取り巻く環境は厳しさを増している。業種別では「小売商」14件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」10件、「その他」3件、「寝具・インテリア製品製造卸」「ニット製品・洋品雑貨製造卸」各2件、「紡績・撚糸」「染色整理・特殊加工」「織物製造」「糸及び原料商」「織物卸」各1件。原因別では「業績ジリ貧」34件で94.4%を占め、「放漫経営」「業況急変」各1 件。