2025年9月全国の繊維倒産集計
負債額は前月比、前年同月比ともに減少
発生件=40件
負債額=40億9700万円
2025年(令和7年)9月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は40件で、前月比は6件(17.6%)増、前年同月比では16件(66.7%)増。負債総額は40億9700万円で、前月比では109億4900万円(72.8%)減、前年同月比では24億9700万円(37.9%)の減となった。
負債額10億円以上の倒産は発生せず、5億円以上も(株)ルームプラス(広島市安佐南区、日用品雑貨ほか小売、負債額5億円)の1社のみで、3億円以上も2社にとどまった。
2025年に入り負債10億円以上の倒産が0件となったのは当月のみ。コロナ禍を含め売上不足が改善されないまま営業を継続してきた中小零細小売業の破たんが全体の40%以上を占め、業種別での比率は高位で推移している。
(株)ルームプラスは、生活雑貨、インテリア用品、婦人服など幅広く扱い、「ルームパステル」の店名で全国のショッピングセンターほか商業施設内に店舗展開していたが、コロナ禍での売上低迷、円安に伴う仕入価格の上昇や人件費の高騰で収益が悪化し、資金繰りも限界となり、破たんに至った。
日銀発表の金融政策決定会合における主な意見 (2025年9月18、19日開催分)では、経済の現状はまずまず堅調で、個人消費が漸く上向きつつあるとの見解を示している。しかし、これは飲食料・生活必需品など値上げに伴う消費が増加しているものと見られ、実質賃金は前年比減少傾向にあり、物価上昇率は鈍化しているものの、家庭会計負担は依然重く消費マインドは低調である。
繊維業界は当月末に若干気温が下がったものの、初秋物の動きは鈍く、10月上旬も高温予想となっており商況は限定的と見られ、11月以降は大きく気温が下がる見通しで冬物シーズンに期待する現状である。
決済の端境期に入り、例年大型倒産は減少傾向にあるが、引き続き業績ジリ貧、資金調達力に乏しい中小零細企業の破たんは増加する可能性がある。
業種別では「小売商」17件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」7件、「染色整理・特殊加工」4件、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」「織物卸」各3件、「織物製造」「寝具・インテリア製品製造卸」各2件、「呉服・和装製品製造卸」「その他」各1件。
原因別では「業績ジリ貧」35件で87.5%を占め、「業況急変」4件、「資金力薄弱」1件。