2025年5月全国の繊維倒産集計
件数は連続の30件台、負債額は大幅増で2020年5月に次ぐ高水準
発生件=35件
負債額=145億4900万円
2025年(令和7年)5月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は35件で、前月比は2件(5.4%)減、前年同月比では4件(12.9%)増となった。
負債総額は145億4900万円で、前月比では50億2600万円(52.8%)、前年同月比も54億1800万円(59.3%)の大幅増となった。
負債額10億円以上の倒産は(株)ロイヤル(名古屋市中区、スポーツ用品小売、負債額93億6800万円)の1社、同5億円以上は(株)フルーツ(東京都練馬区、タオル製品製造、負債額9億8000万円)、(株)エテルノ・ヒラカタ(大阪府枚方市、紳士服縫製、負債額9億6600万円)の2社が発生した。
件数は前月と同様30件台、負債額は2020年5月の202億8200万円に次ぐ高水準となった。上半期としては3年連続前年比増となる可能性もあり、負債総額はすでに2025年上半期の377億5100万円を上回っている。
(株)ロイヤルは中部地区ではスポーツ用品の並行輸入の草分け的存在で、スポーツ・カジュアルシューズ主体に雑貨、カジュアルウエアほかを扱い、「Z-CRAFT」ほかの店名で店舗を展開。「ナイキ」ブランドが爆発的にヒットした1997/8期には売上高178億9602万円を計上し、利益ピーク時の1996/8期は税務申告利益4億9947万円を計上していた。その後はブームの終焉により減収基調となり赤字決算を散発したが、近年は多店舗展開と大型量販店への販売強化で増収基調に回復、コロナ禍ではネット通販が好調だった。しかし、過年度から銀行借入金に頼った余力の乏しい資金繰りが続いていたところ、2024/8期は前期比20億円もの大幅減収でひっ迫した資金状況に追い込まれ、自力再建を断念した。
訪日客は増加しているが、円高傾向などによりラグジュアリーブランドを中心に高額免税商品の販売が落ち込み、百貨店の売上低迷が目立つようになっている。2025年夏のボーナスは民間企業で4年連続の増加が予想されているものの、ボーナス商戦も含め個人消費の停滞が懸念される。
繊維業界は春・夏物ともに出足が鈍く、一部カジュアルチェーンなどでは不振がみられる。今後も赤字経営・過剰債務を抱えながらリスケなどにより延命してきた企業の大型倒産が散発的に発生し、不況型小規模倒産の多発も予想される。
業種別では「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」12件、「小売商」「その他」各8件、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」4件、「織物製造」2件、「織物卸」1件。 原因別では「業績ジリ貧」32件で91%を占め、「業況急変」2件、「貸し倒れ損失」1件。