2019年5月全国の繊維倒産集計

粉飾2 社の負債が全体を押し上げ、負債額大幅増加

  • 発生件数36件
  • 負債額=184億1700万円

2019年(令和元年)5月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は36件で、前月比で15件(71.4%)増加、前年同月比で4件(12.5%)増加した。

負債額は184億1700万円で前月比163億2700万円(781.2%)増、前年同月比141億1900万円(328.5%)増と、平成年代最少額の前月から一転、2015年4月の184億7300万円以来となる180億円越えとなった。

負債額10億円を超える大型倒産は(株)サンヒット(埼玉県八潮市、繊維手芸品製造ほか、負債額89億3700万円)と(株)リファクトリィ(東京都中央区、婦人服ほか製造小売、負債額60億円)の2社。負債額5億円以上は(株)ワボー(米沢市、婦人服地卸ほか、負債額6億1600万円)と柏田屋(株)(新潟県十日町市、染呉服製造、負債額5億7000万円)の2社。大半は負債額5000万円未満の小規模倒産だが、上位2社が負債額を押し上げる形となった。

大型倒産2社に共通するのは「長期間に亘る粉飾決算」。(株)サンヒットは開示されていた銀行借入金や資金繰りの状況が実態とかけ離れ、(株)リファクトリィは売上高を水増しする違法な操作を行っていた。

一度帳簿を操作すると、正常に戻すことは困難であり、仮に実態に即した帳簿に戻せたとしても、決算書の連続性という点で、必ず矛盾が生じる。また、その時点で決算書を開示していた相手先に過去の「粉飾」が発覚する可能性が高い。この2社の場合、長期に亘り「粉飾」を継続していたことや、金融機関を含め、多くの債権者が気付かなかったという点では、非常に巧妙であったことが伺える。本来ならば、借入金や預金の残高などは取引銀行のチェック機能が働く勘定科目であり、早い段階で「不正」が発覚するが、取引銀行が10行以上に及ぶ多行取引であったことが「粉飾」を見抜く妨げとなっていたと考えられる。

業種別では、「小売商」9件、「その他」8件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」「ニット製品・洋品雑貨製造卸」が各6件、「呉服・和装製品製造卸」3件、「織物製造」「糸・原料卸」「織物卸」「寝具・インテリア製造」各1件。

原因別では、「業績ジリ貧」32件、「信用度薄弱」2件、「過剰投資」「業況急変」が各1件。

2019年5月東海・中部の繊維倒産集計

件数、負債額とも前月に引き続いて低水準に

東海
  • 東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)
  • 発生件数=1件
  • 負債額=3000万円

東海4県下の倒産件数は1件のみとなり、前月比で同数、前年同月比では4件減少となった。

負債額は3000万円で、前月比1000万円(25.0%)の減少となり、前年同月比では6億5800万円(95.6%)の減少となった。

業種別では「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」、原因別では「業績ジリ貧」となっている。

(株)アドリブ(愛知県大治町、子供服ほか卸、負債額3000万円)は、子供服主体に一部紳士・婦人服も扱い、名古屋や大阪地区の業者から大衆向け安価品を仕入れ、主に岐阜地区の衣料総合小売チェーン店に販売して近年は7000万円前後の年商を上げていた。しかし、利幅は小さく、余力の乏しい資金運営に終始していたところ、近時は価格競争が激化してさらに苦しい状況になり、事業継続が不可能になった。


中部
  • 中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・富山・石川・福井・滋賀)
  • 発生件数=2件
  • 負債額=5000万円

中部9県下の倒産件数は2件で、前月比同数、前年同月比では7件の減少となった。

負債額は5000万円で、前月比1億4000万円(73.7%)の減少となり、前年同月比でも9億1600万円(94.8%)の減少となった。

業種別では「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」「ニット製品・洋品雑貨製造卸」各1件、原因別では2件とも「業績ジリ貧」となっている。

東海4県以外の倒産では富山で1件発生した。 (株)ANC企画(富山県氷見市、縫製加工、負債額2000万円)は、富山県内外の縫製業者の下請工場として位置付けられ、水着や介護用品などの縫製を手掛け、ピーク時には1億円前後の加工賃収入を上げていた。しかし、海外生産へのシフトが進んで国内生産の需要自体が減少し、近年は受注も頭打ちとなり、赤字が慢性化。先行きの見通しが立たなくなり、2月11日をもって事業を停止していた。