2021年1月全国の繊維倒産集計

2カ月連続で負債額5億円以上の倒産が発生せず、負債額・件数とも低水準

  • 発生件数17件
  • 負債額=20億1300万円

2021年(令和3年)1月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は17件で前月と同件数、前年同月比では20件(54.1%)減と、昨年5月から9ヶ月連続の減少となった。

負債額は20億1300万円で前月比7億7100万円(62.1%)増、前年同月比では63億2300万円(75.9%)減少した。

件数は前月と同数で過去最少、負債額も過去最少だった前月に次いで2番目に低い水準となった。当月も前月に続いて負債額10億円超の大型倒産だけでなく、5億円以上も0件で、1億円以上は約半数の8件。昨年1年間を通じて5億円以上が発生しなかったのは12月のみで、初めて2カ月連続となった。

 

コロナ禍の巣ごもり特需により家飲みやオンライン飲み会向けの料理を提供するデリバリー業者、大手飲食店、それらを配達する宅配業者。また、在宅勤務やテレワークの浸透によりノートパソコンを筆頭に空気清浄機や加湿器、さらに10年前に終了した「家電エコポイント」で購入した液晶テレビの買い替え需要が増えた家電業界などは活況が続いている。

しかし、首都圏1都3県に続いて、関西3府県と愛知ほか3県で特別措置法に基づく緊急事態宣言が、再度出されたことで、飲食店、観光関連を中心に様々な業種が外出自粛によるマイナスの影響を受けている。

経済産業省が1月28日に発表した商業動態統計(速報)によると、小売業のうち織物・衣服・身の回り品は20年12月まで15カ月連続のマイナスとなっている。また、アパレル関連の上場小売業者の月次売上推移をみると、昨年10月までは前年同月実績を上回る企業が増える傾向にあったが、翌11月から一転して前年割れの企業が増えている。前年のこの間が、暖冬により販売低迷が続いていた時期だったことを考量すると販売不振は深刻である。

新型コロナウイルス感染拡大が始まってから間もなく1年が経過するが、長期化する自粛営業のあおりから、繊維業界では事業統合や事業譲渡、転業や廃業を決断する企業も出はじめている。また、希望退職者を募集する先や一部事業からの撤退を決める先も少なくはなく、市場規模は急速に縮小している。

各種のコロナ関連融資や助成金の受給などにより、倒産件数は低い水準で推移している。しかし、水面下では度重なる支払条件の変更要請、回収サイトの短縮要請など取引関係先に対するシワ寄せにより資金繰りを凌いでいる企業もあるとみられ、しばらくは予断を許さない状況が続きそうだ。

業種別では、「小売商」5件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」3件、「織物製造」「呉服・和装製品」「その他」各2件、「染色整理・特殊加工」「織物卸」「ニット製品・洋品雑貨製造卸」各1件。

原因別では、「業績ジリ貧」が14件で82.4%を占め、「業況急変」2件、「資金力薄弱」1件。

2021年1月東海・中部の繊維倒産集計

件数は依然低水準、負債額も前年同月を下回る

東海
  • 東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)
  • 発生件数=4件
  • 負債額=6億3100万円

東海4県下の倒産件数は4件と依然低水準の推移で、前年同月比でみると1件増加した。

負債額は6億3100万円で前年同月比4億2900万円(40.5%)の減少となっている。

業種別では「小売商」2件、「織物製造」「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」各1件。原因別では「業績ジリ貧」3件、「資金力薄弱」1件となっている。

(株)ニューガーデン(岐阜県大垣市、負債額1億4000万円)は、家族中心の小規模経営に終始し、地元の業者から受注して衣料品の縫製加工を手がけていたが、国内縫製の需要そのものが減少する中、過年度の設備投資や運転資金に運用した銀行借入金の返済の見通しが立たなくなった模様で、事業継続を断念した。


中部
  • 中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・富山・石川・福井・滋賀)
  • 発生件数=5件
  • 負債額=6億4100万円

中部9県下の倒産件数は5件で、前年同月比1件減少した。

負債額は6億4100万円で、前年同月比5億5900万円(46.6%)減少した。

業種別では「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」「小売商」各2件、「織物製造」1件。原因別では「業績ジリ貧」4件、「資金力薄弱」1件となっている。

クリモア(株)(滋賀県近江八幡市)は、各種衣料品を主体にアクセサリー、貴金属、時計、バッグ類を扱い、卸売主体に一部小売も手がけていたが、資金力の制約から小規模な経営を強いられ、2018年頃には実質事業を停止していたものとみられる。