2017年5月全国の繊維倒産集計

件数、負債額とも増加、ジリ貧型倒産が大半

  • 発生件数44件
  • 負債額=97億700万円

2017年(平成29年)5月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は44件、前月比で14件(46.7%)、前年同月比10件(29.4%)それぞれ増加した。

負債額は97億700万円で、前月比52億1500万円(116.1%)、前年同月比39億円(67.2%)増加した。負債額10億円を超える倒産は(株)アート・スポーツ(東京都渋谷区、スポーツ用品ほか小売、負債15億8883万円)、(株)北川(京都市中京区、染呉服製造、負債12億9000万円)の2社。5億円を超える倒産は3社だった。

 

件数、負債額とも前年及び前年同月を上回り、負債額はここ1年間で最も多くなった。負債額トップの(株)アート・スポーツは、スポーツ用品全般だけでなく、自転車、スキューバーダイビングなどに特化した店舗も構え、一部のコアな顧客に支えられてきたが、消費不振の煽りを受け業績が低迷。このため、同業他社と業務提携し、資金面でも支援を得てきたが、ブームの沈静化や競合店の台頭などにより厳しい経営を強いられ支えきれなかった。スポーツ用品チェーン店としては25年9月に民事再生法を申請した(株)タケダスポーツ(盛岡市、負債額54億円)以来の大型倒産となった。

依然として消費ムードに活況感は乏しいが、4月の百貨店売上はインバウンドの復調も後押しして14ヶ月ぶりにプラスに転じた。ただ、インバウンドの復調基調は「モノ」から「コト」への消費に軸足が移る傾向にあり、当月の売れ行き商材を見ると、長年、月次売上高の上位に揺るぎなかった婦人服が5位以下にランクダウンし、衣料品全体でも前年同月比マイナスの状況が続くなどアパレル不況の深刻さが窺える。

人件費や原材料費の高騰を背景に、6月から電気、ガスなどの生活インフラだけではなく、バター、小麦粉、郵便料金など生活に身近な商品、サービスが相次いで値上げされることから、支出を抑える消費者が今後増えることが見込まれる。

バブル期以来の有効求人倍率といったニュースもあるものの、景況回復の実感は乏しい。資本力の乏しい中小企業への値上げの影響は計り知れず、暫くは予断を許さない状況が続くものと思われる。

業種別では、「小売商」20件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」7件、「呉服・和装製品製造卸」「ニット製品・洋品雑貨製造卸」「その他」各4件、「織物卸」3件、「染色整理・特殊加工」「寝具・インテリア製品製造卸」各1件。

原因別では、「業績ジリ貧」が41件で全体の93%を占め、次いで「業況急変」3件となっている。

2017年5月東海・中部の繊維倒産集計

負債額は前月比、前年同月比とも大幅に減少

東海
  • 東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)
  • 発生件数=1件
  • 負債額=5000万円

東海4県下の倒産件数は1件で、前月比では3件減少、前年同月比では5件の減少となった。

負債額は5000万円で、前月比2億2600万円(81.9%)の減少、前年同月比では32億2400万円(98.5%)の減少となった。業種別では「小売商」、原因別では「業績ジリ貧」となっている。

(有)リヴォルツ(名古屋市)は、以前代表者が勤務していた店舗を暖簾分けする形で独立して立ち上げたもので、婦人服を中心に紳士服も扱い、ニットセーター10万円、コート20万円、ブルゾン30万円といった高級品主体。

当初から相応の固定客を持ち、ピーク時の20/1期・21/1期は1億7000万円強の年商を上げたが、いずれも赤字で、店舗の維持・運営費の負担が重いため、債務超過に転落。その後も売上が減少して赤字経営が続く中、規模縮小による採算の回復を目指したが、苦しい経営が続き、事業継続を断念した。


中部
  • 中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・富山・石川・福井・滋賀)
  • 発生件数=4件
  • 負債額=6億3000万円

中部9県下の倒産件数は4件で、前月比では同数、前年同月比では3件の減少となった。

負債額は6億3000万円で、前月比3億5400万円(128.3%)の増加、前年同月比では28億2400万円(81.8%)の減少となった。

エム繊維(株)(石川県内灘町、負債5億円)は、当初はセーターやカーディガン等の横編ニット製品を主力としていたが、昭和63年頃からスポーツ衣料向けの襟、袖口ほか横編付属製品の製造に着手。ピーク時の平成10/4期は売上高12億1589万円を確保したが、その後は安価な海外製品の流入により国内製品の需要が減少し、一方では納期遅れほか生産トラブルも発生。各方面の支援を受けて経営再編に注力していたが、年商を上回る借入金の返済が足かせとなっていた。