2021年3月全国の繊維倒産集計

件数、負債額とも引き続き低水準だが、負債額は増える傾向

  • 発生件数26件
  • 負債額=45億2800万円

2021年(令和3年)3月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は26件で、前月比9件(52.9%)増加、前年同月比では5件(16.1%)減と、昨年5月から11カ月連続の減少となった。

負債額は45億2800万円で前月比8億円(21.5%)増、前年同月比では63億7200万円(58.5%)減少した。

負債額10億円超の大型倒産は㈱扇屋(大阪市北区、貸衣装、負債額21億2000万円)1社で、その他はすべて負債額5億円未満。約半数が負債額1億円未満の少額倒産と、この傾向は変わらない。

(株)扇屋は老舗の婚礼用貸衣装業者で結納、婚礼用品なども扱い、全国の著名ホテル内に営業所を開設するほか、一時は結婚式場も併営し、2010年頃まで年商50億円台で推移していた。近年は婚礼数の減少や簡素化が進むなど、取り巻く商環境が悪化。2017/3期に年商30億円を割り込み、同期以降は赤字経営となった。2020年に入り、一部事業を吸収分割により他社に譲渡し、当社は12月16日開催の株主総会の決議により解散。債務整理のため特別清算申請となった。

(株)扇屋は新型コロナウイルスの感染拡大前に事業継続を断念した「ジリ貧」の倒産だが、3月19日事業再生ADRを申請したワタベウェディング(株)(京都市中京区、総合ブライダルサービス事業)は、「コロナ」により自力再編を断念した。同社はバブル期に結婚式場の運営を拡大し、ハワイやグアムなど海外挙式を得意としたが、結婚式の延期やキャンセルが相次いで発生。2020/12期はコロナ禍前の年商から半減以下にまで急激に落ち込み、117億円の大幅赤字で8億6300万円の債務超過に転落。期末の負債総額は268億6700万円まで膨らんだ。今後は興和(株)(名古屋市中区、医薬事業ほか)からスポンサー支援を受け、同社の完全子会社で経営再編することとなった。

繊維業界では今のところ、コロナ禍を直接的な原因とする倒産は多くない。その背景には、各種の融資と助成金の恩恵があると繰り返し述べてきたが、その恩恵が続いていることに変わりはない。

しかし、一方で外出自粛による商談の遅れや、工場の稼働率の低下による納期遅れなどが発生しているとも伝えられる。店頭の販売不振が続いており、多くの業者は在庫を抱え、その処分に苦慮しているため、生産遅れの問題は顕在化していないが、水面下では現場の混乱が続いている。コロナ感染がリバウンドにより「第4波」に入ったとみられる地域も出はじめる中、今後、政府の支援策の動向によっては、資金繰りに窮する業者が多発する可能性も否定できず、先行きの不透明感を払拭できない。

業種別では、「小売商」9件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」6件、「その他」4件、「染色整理・特殊加工」「ニット製品・洋品雑貨製造卸」各2件、「織物製造」「織物卸」「寝具・インテリア製品製造卸」各1件。

原因別では、「業績ジリ貧」が23件で88.5%を占め、「業況急変」3件。

2021年3月東海・中部の繊維倒産集計

件数は依然低水準、負債額は前月を大幅に下回る

東海
  • 東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)
  • 発生件数=2件
  • 負債額=1億1600万円

東海4県下の倒産件数は2件と依然低水準の推移となっており、前月比で同数、前年同月比では1件増加した。

負債額は1億1600万円で前月比15億8700万円(93.2%)減少、前年同月比では6000万円(5.5%)の増加となっている。

種別では「染色整理・特殊加工」「織物製造」各1件。原因別ではいずれも「業績ジリ貧」となっている。

栗山通産(株)(名古屋市中村区)は、子供ニットウエア主体に製造、自社企画品とOEMを手掛けていた。中国、韓国からの直輸入仕入れ主体に国内の外注工場でも生産し、商社や前売問屋に販売して1990年代初期のピーク時には5億円台の年商を上げていたが、その後は赤字決算を連発し、財務は債務超過に転落。2020年3月には名古屋市が本社不動産に「差押」登記されるなど苦しい展開となっていた。

前月は(株)サンクローバー(岐阜市、負債額16億2300万円)の倒産で、負債額を大きく引き上げていた。


中部
  • 中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・富山・石川・福井・滋賀)
  • 発生件数=2件
  • 負債額=1億1600万円

中部9県下の倒産件数は2件で、前年同月比同数、前年同月比では1件減少した。

負債額は1億1600万円で前月比15億8700万円(93.2%)減少、前年同月比では7100万円(38.0%)の減少となっている。

業種別では「染色整理・特殊加工」「織物製造」各1件。原因別ではいずれも「業績ジリ貧」となっている。

3月は東海4県下以外での倒産はなかった。