2019年11月全国の繊維倒産集計

ここ数年、倒産の発生が少ない11月だが、負債額は大幅増に

  • 発生件数34件
  • 負債額=69億2800万円

2019年(令和元年)11月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は34件で、前月比1件(3.0%)増加、前年同月比5件(17.2%)増加した。

負債額は69億2800万円で前月比20億300万円(40.7%)増加、前年同月比でも27億2100万円(64.7%)増加した。

負債額10億円を超える大型倒産は(株)かのこ(東京都中央区、呉服小売、負債額16億円)、(株)BASE(東京都品川区、婦人服製造・小売、負債額14億5400万円)2社のみ。同5億円以上は発生せず、同3億円以上が5件、負債額1億円以下の小規模倒産が21件と全体の61.8%を占めた。

(株)かのこは2000年12月会社更生法を申請した(株)長崎屋(東京都)の事業再編の一環として同社子会社から呉服事業を譲り受けてスタートしたが、和装需要の低迷が続く中、再び他社に事業譲渡して破たんした。

(株)BASEは東証1部上場の(株)はるやまホールディングスが設立した子会社。店舗のスクラップ&ビルドの負担が重いため、赤字決算が続いて債務超過に陥り、他社に事業を譲渡した後、債務整理のため特別清算を申請した。

厳しい商況が続いている繊維業界にあって、オーダースーツの活況が伝えられる紳士服業界だが、主力のビジネススーツの不振は深刻だ。(株)コナカの2019/9期決算は前期実績の10%に満たない金額にまで営業利益を落し、「固定資産の減損」に係る特別損失の計上により53億円もの当期純損失を計上。青山商事(株)、(株)AOKIホールディングス、(株)はるやまホールディングスの2020/3期第2四半期決算は3社とも四半期純利益が赤字となり、青山商事㈱は通期でも赤字決算を見込んでいる。

「駆け込み需要」の反動により消費税増税後の売上は、多くの業界で前年実績を大きく下回っていると報告されている。繊維業界では一部の高額商品や消耗品を除くと「駆け込み需要」そのものが軽微で、恩恵も影響もほとんどない。だとすると、業界全般における販売不振は、より一層深刻な状況に突入していると言えるのではないだろうか。

この背景には「働き方改革」の浸透により、残業や休日出勤などが減少して所得が伸び悩む中、公共料金、携帯電話やスマ-トフォン、住宅ローンなど固定費が高止まりして可処分所得が増えないことがあるとみられる。衣料品を筆頭に身の回り用品が消費者の買い控え対象になりつつあり、しばらくは予断を許さない状況が続きそうだ。

業種別では、「小売商」15件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」12件、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」「その他」各2件、「糸・原料商」「織物卸」「呉服・和装製品製造卸」各1件、「紡績・撚糸製造」「糸・原料商」各件。

原因別では、「業績ジリ貧」30件、「資金力薄弱」2件、「貸し倒れ損失」「業況急変」各1件。

2019年11月東海・中部の繊維倒産集計

件数は依然低水準、負債額は前月比で若干増加

東海
  • 東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)
  • 発生件数=4件
  • 負債額=3億3700万円

東海4県下の倒産件数は4件で、前月比で同数となり、前年同月比では3件増加した。

負債額は3億3700万円で、前月比2億1300万円(171.8%)の増加となり、前年同月比では3億1500万円(1431.8%)の増加となった。

業種別では「小売商」3件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」1件。原因別では4件すべて「業績ジリ貧」となっている。

(株)コーヤマ(岐阜県関市、カジュアルウエア小売、負債額1億4800万円)は、紳士カジュアルウエアを主体に扱い、「KOHYAMA」の店名で多店舗展開していたが、店舗の維持・運営費や銀行借入金の支払利息が年々膨張。また安価なファストファションの台頭により集客力が低下したため、楽天市場を開設してネット通販に参入するも苦しい展開が続き、2018年12月頃には先行きの見通しが立たなくなり、年末から今年2月20日まで在庫処分の閉店セールを行い、営業を終了していた。


中部
  • 中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・富山・石川・福井・滋賀)
  • 発生件数=6件
  • 負債額=4億円

中部9県下の倒産件数は前月と同じく6件で、前年同月比では3件の増加となった。

負債額は4億円で、前月比9900万円(19.8%)の減少となり、前年同月比では2億1800万円(119.8%)の増加となった。

業種別では「小売商」5件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」1件。原因別では「業績ジリ貧」5件、「業況急変」1件となっている。

東海4県以外の倒産では石川と滋賀でそれぞれ1件発生した。

(株)山上商事(石川県小松市、かばん・袋物小売、負債額5300万円)は、JR小松駅西側に位置する商店街に本店を構え、地元の一般顧客を主体に販売し、2000年前後には1億円台後半の年商で推移していたが、商店街自体の集客力低下などから売上の減少に歯止めがかからず、今年に入り前経営者が死去したこともあって事業継続が難しくなった。