2018年8月全国の繊維倒産集計

件数は減少も、負債額は前月比・前年同月比増加

  • 発生件数30件
  • 負債額=133億5100万円

2018年(平成30年)8月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は30件で、前月比9件(23.1%)、前年同月比1件(3.2%)の減少となった。

負債額は133億5100万円で前月比65億6500万円(96.7%)、前年同月比99億2200万円(289.4%)増加した。

負債額10億円を超える大型倒産は、辻商(株)(奈良県磯城郡、靴下ほか小売、負債額34億3500万円)、(株)TSBホールディングス(奈良県磯城郡、靴下製造ほか、負債額30億600万円)、(株)スタジオ・ポアック(大阪市天王寺区、靴下ほか卸、負債額16億8700万円)、(株)LCR(京都市右京区、紳士カジュアルウエア製造ほか、負債額16億4700万円)の4社が発生。2018年度では1月の148億7700万円に次ぐ負債額で、加えて4ヵ月連続前月を上回る推移となっている。

負債額トップの辻商㈱は、(株)TSBホールディングスと㈱スタジオ・ポアックでグループを形成し、当初は通販・量販店などに販路を築く靴下メーカーであったが、その後グループで小売業にも進出し業容を拡大。しかし、消費低迷による小売部門の不振と多額の借入負担で経営に行き詰まり、卸部門の㈱スタジオ・ポアックのみ、民事再生で再建を目指すこととなったものの、安価品が消費の中心となり、業界環境の悪化が続く、構造的な不況型倒産といえる。

当月も、7月に続き酷暑の影響、台風被害が相次ぐ西日本を中心に消費は伸び悩み、衣料品市場もヒット商品に恵まれず、低迷を脱し切れていない。こうした中、3店舗の閉鎖を決めた地方百貨店㈱井筒屋に続き、㈱大丸松坂屋百貨店が京都・山科店の2019年3月での閉鎖を発表。百貨店だけではなく、イトーヨーカ堂なども不採算店の閉鎖を進める予定で、今後売り場の縮小が急速に進む可能性があり、販売チャネルの再構築を迫られる企業も出てくるものと見られる。

また、(株)ワコール、(株)デサントのようにスポーツ・ファンデーションと事業領域を超えた事業提携なども起これば、繊維業界全体の再編にもつながり、このような変化に対応しきれない中小・零細企業を中心に整理・淘汰が更に進むものと予想される。

業種別では、「小売商」10件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」9件、「その他」5件、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」4件、「染色整理・特殊加工」「呉服・和装製品製造卸」各1件。

原因別では、「業績ジリ貧」が27件で全体の90%を占め、以下「業況急変」2件、「資金力薄弱」1件。

2018年8月東海・中部の繊維倒産集計

件数は依然低水準、負債額は今年最少に

東海
  • 東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)
  • 発生件数=3件
  • 負債額=7500万円

東海4県下の倒産件数は3件で、前月比1件増加、前年同月比では1件の減少となった。

負債額は7500万円で、前月比19億8000万円(96.4%)と大幅な減少となり、前年同月比で9億5200万円(92.7%)の減少となった。

業種別では「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」「小売商」「その他」がそれぞれ1件。原因別ではすべてが「業績ジリ貧」となっている。

サカエ(岐阜市、負債2000万円)は、純工賃の個人経営業者で、ジーンズ、スラックスを中心にブルゾン、ジャケットほかの縫製を手掛け、自社工場と国内の協力工場で生産。法人当時は岐阜県内のカジュアルメーカーを主要受注先とし、1億円を超える年商をあげていたが、平成年代に入ってからは海外生産へのシフトが進み、地元同業者の海外進出が加速化するなど取り巻く受注環境が変化。工賃単価の抑制が年々厳しくなり、中国人実習生・研修生を採用することで加工コストを削減しても利益は伸びず、近年は受注環境がさらに悪化して、債務返済の見通しが立たなくなり、事業継続を断念した。


中部
  • 中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・富山・石川・福井・滋賀)
  • 発生件数=3件
  • 負債額=7500万円

中部9県下の倒産件数は3件で、前月比2件減少、前年同月比では3件減少した。

負債額は7500万円で、前月比24億4200万円(97.0%)の減少、前年同月比では10億7200万円(93.5%)の減少となった。

8月は東海地区以外の倒産発生はなかった。