2019年7月全国の繊維倒産集計

少額倒産多発で件数は今年最高、負債額は大幅減

  • 発生件数45件
  • 負債額=57億5400万円

2019年(令和元年)7月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は45件で、前月比17件(60.7%)増加、前年同月比6件(15.4%)増加した。

負債額は57億5400万円で前月比125億5000万円(68.6%)減、前年同月比10億3200万円(15.2%)減となった。

負債額10億円を超える大型倒産は(株)ヰノセント(東京都渋谷区、婦人丸編ニットウエア製造・小売、負債額13億円、)の1社のみで、同5億円以上も(株)せきぐち(横浜市鶴見区、学生服ほか小売、負債額5億円)の1社だった。その他は大半が小規模倒産で、負債額1億円未満が全体の約60%を占めた。

(株)ヰノセントはファンド企業が経営再編に取り組んだが、関係者や関係会社に関するマイナスの風評が流れて対外信用が低下。さらに支払遅延の発生や取引先から債権譲渡登記される事態を招いた。このため別のスポンサー企業の傘下で再スタートしたものの、対外信用は回復せず、特別清算を申請した。

(株)せきぐちはスリッパ製造で創業した後、紳士服・洋品小売に転換。さらに幼稚園制服、公立中学・高校の制服、ユニホームと扱品を多様化したが、少子化の影響で主力の学生向けが不振に陥り、ピーク時の半分未満の年商に落ち込んで、支え切れなくなった。

7月は各地で記録的な日照不足となり、長雨の影響もあって気温の低い日が続いた。梅雨明けは関東甲信で例年より8日、昨年より30日も遅くなるなど国内全域で異常気象となり、夏物衣料や水着などの夏物商戦は不発のまま、8月の在庫処分セールに突入することとなった。

今年は暖冬により秋・冬衣料で惨敗した企業が多かっただけに、2シーズン続いた天候不順の影響は深刻で、小売業者に止まらず、メーカーや各工程の工場を含め、大幅な売上不足に陥る危険性を含んでいる。 また「働き方改革」の一環から、多くの企業が8月の夏季休暇もGWと同じ9連休を計画しており、この間の消費動向が繊維業界の商況に及ぼす影響も気にかかるところである。

業種別では、「小売商」18件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」11件、「その他」6件、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」5件、「呉服・和装製品製造卸」3件、「染色整理・特殊加工」「織物製造」各1件。

原因別では、「業績ジリ貧」39件、「資金力薄弱」「業況急変」各2件、「貸し倒れ損失」「放漫経営」各1件。

2019年7月東海・中部の繊維倒産集計

件数は引き続き低水準、負債額も前月比・前年同期比で大幅減少

東海
  • 東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)
  • 発生件数=1件
  • 負債額=4500万円

東海4県下の倒産件数は1件で、前月比で1件減少、前年同月比でも1件減少となった。

負債額は4500万円で、前月比9億5500万円(95.5%)の減少となり、前年同月比では20億1000万円(97.8%)の減少となった。

業種別では「小売商」で、原因別では「業況急変」となっている。

(有)チェルシー(静岡県浜松市、紳士服・婦人服・洋品ほか小売、負債額4500万円)は、「CHELSEA」の店名で、2017年10月からは浜松市内で、紳士服ブランド「m's braque(エムズ ブラック)」や、婦人服ブランド「m.fil(エムフィル)」などを展開。ハイセンスな品揃えで差別化を図り、鞄やアクセサリーなども扱っていたが、店舗はバーカウンターを改装せずに商品を陳列していたため、思うような集客ができず、短期間で閉店に追い込まれていた。


中部
  • 中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・富山・石川・福井・滋賀)
  • 発生件数=3件
  • 負債額=2億500万円

中部9県下の倒産件数は3件で、前月比1件減少、前年同月比では2件の減少となった。

負債額は2億500万円で、前月比8億9300万円(81.3%)の減少となり、前年同月比では23億1200万円(91.9%)の減少となった。

業種別では「小売商」2件、「織物製造」1件となり、原因別では「業績ジリ貧」2件、「業況急変」1件となっている。

東海4県以外の倒産では滋賀で2件発生した。

高橋織物(株)(滋賀県高島市、綿織物製造、負債額1億5000万円)は、江戸年間創業綿の老舗織物メーカーで、主に肌着などのインナーに用いられるクレープ生地「高島ちぢみ」を製造していたが、近年は海外廉価製品との競合により売上は下降線を辿り、貸倒れも重なって資金繰りは常時多忙で苦しい状況が続いていた。