2017年8月全国の繊維倒産集計

負債額が減少し、直近3年では最少額

  • 発生件数31件
  • 負債額=34億2900万円

2017年(平成29年)8月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は31件で、前月比で1件増(3.3%)、前年同月比で8件(20.5%)減少した。

負債額は34億2900万円、前月比19億7300万円(36.5%)、前年同月比29億6400万円(46.4%)の減少で、平成26年2月の39億300万円以来の低水準となった。7月に続いて8月も、負債額10億円を超える大型倒産の発生はなく、5億円以上も、(株)DAQ(岐阜市、カジュアルウエア企画・販売ほか、負債8億7100万円)と(株)宮川管財(東京都千代田区、リネンサプライ、負債6億円)の2社のみ。

31件中21件が負債額1億円以下の少額倒産で、そのうち17件が5000万円以下。これは7月とほぼ同水準だった。

東京では月初めから連日、ぐずついた天気の報道が伝えられ、北海道、東北から関東地区では梅雨の様な天候と低温の日が続いた。長引く天候不順は、この地域の百貨店、家電・レジャー業界、ビアホールほか外食産業等、様々の業種の夏物商戦にマイナスの影響を及ぼした。このように、取り巻く商環境が好転する兆しがみえない中にあって、下半期に入ってから、倒産件数、負債額とも低水準で落ち着いている。この背景には、

・中小零細企業を中心に、売上ベースが落ちたことで  仕入れコストも減少。さらには売上に連動して人員削減することで人件費を抑制している。

・製造、卸、小売の各段階がそれぞれ応分の在庫負担を負うことで支えあっている。

・銀行借入の「借り換え」を繰り返すことで、実質は「利払いのみ」あるいは「返済棚上げ」の状況にある。ことなどが考えられる。

この中でも、資金繰りの根幹となる金融機関の姿勢により、左右されるがところが大きいとみられるが、地方銀行や信用金庫の収益悪化が深刻化する中、これまでどおり借入金の返済猶予に対応する姿勢を維持できるか否か、先行きの不透明感は否定できない。

年商と借入金がほぼ同額の企業も少なくはなく、中には、借入が年商を超えている企業もある繊維業界では、9月末の金融機関の上半期決算を前に、予断を許さない状況が続きそうだ。

業種別では、「小売商」18件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」7件、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」2件、「織物製造」「織物卸」「寝具・インテリア」「その他」各1件。 原因別では、「業績ジリ貧」が28件で全体の90.3%を占め、「業況急変」2件、「資金力薄弱」1件だった。

2017年8月東海・中部の繊維倒産集計

件数、負債額とも前月、前年同月を下回る

東海
  • 東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)
  • 発生件数=4件
  • 負債額=10億2700万円

東海4県下の倒産件数は4件で、前月比では4件減少、前年同月比では同数となった。

負債額は10億2700万円で、前月比6300万円(5.8%)の減少、前年同月比では4億4500万円(76.5%)の増加となった。業種別では4件すべてが「小売商」。原因別でも、すべてが「業績ジリ貧」となっている。

(株)DAQ(岐阜市、負債8億7100万円)は、Tシャツ、ポロシャツなどのカジュアルウエアを企画。「tshirt.st(ティーシャツドットエスティー)」の店名で自社WEB上のサイトなどで販売するほか、スマートフォンなどの高級ケースを販売していたが、近年は販売不振に陥り、採算も28/4期約1億6000万円、29/4期約2億6300万円と大きな赤字を出していた一方で、借入金の負担もあって苦しい経営が続いていたところ、自力での再建は困難と判断し、民事再生法の中で立て直すことになった。


中部
  • 中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・富山・石川・福井・滋賀)
  • 発生件数=6件
  • 負債額=11億4700万円

中部9県下の倒産件数は6件で、前月比では4件減少、前年同月比では2件増加となった。

負債額は11億4700万円で、前月比1億3100万円(10.3%)の減少、前年同月比では5億6500万円(97.1%)の増加となった。

東海地区以外では金沢市と富山市の小売商2件の倒産が発生。

(株)ウイングゆき山(金沢市、負債1億円)は、婦人服を中心に呉服、学生服、寝具ほかを扱い、周辺のミセス層を対象に販売していたが、近隣に大型ショピングセンターや専門チェーン店が相次いで進出したことで競合が激化。集客力が急速に低下して減収となり、採算も近年は赤字決算を連発する厳しい商況が続いていたところ、先行き資金繰りの見通しが立たなくなり、事業継続を断念した。