2020年7月全国の繊維倒産集計

件数、負債額とも引き続き低水準

  • 発生件数24件
  • 負債額=38億1600万円

2020年(令和2年)7月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は24件で、前月比で2件(7.7%)減少し、前年同月比では21件(46.7%)の大幅減。3ヶ月連続で20件台にとどまるのは昭和30年代以来となる。

負債額は38億1600万円で、前月比17億4400万円(31.4%)減、前年同月比では19億3800万円(33.7%)減少した。

負債額10億円超の大型倒産は栗本産業(株)(大阪市中央区、トリコット生地ほか卸、負債額13億1900万円)の1社のみで、同5億円以上は発生せず、次いで(株)丸榮商店(三重県伊勢市、カジュアルウエア小売、負債額4億2000万円)。その他はすべて負債額3億円以下の小額倒産であった。

栗本産業(株)は主にトリコット生地を扱い、アジアなどへの輸出業者として大阪地区では知名度があり、ピーク時の1993年には年商87億1300万円を計上していたが、その後は業績不振に陥り赤字決算が連続。不動産売却やリスケなどで営業を継続していたが、多額の債務超過に陥り、2月の解散決議を経て、債務整理のため、特別清算を申請した。

政府は2012年12月から続いた景気拡大も、2018年10月後退に転換したことを認定。いざなみ景気(73か月間)に次ぐ71か月間の長さになったが、成長率は実質1.1%程度にとどまり、諸外国と比べても低調であったことが判明した。

当月はコロナ感染の第2波が月末に拡大する中、3月決算上場企業の第1四半期(4~6月)は、赤字・大幅減益を発表する先が多く、景況感は厳しいものとなった。

また、米国の4~6月GDPも前期比32.9%の大幅減少、コロナ感染拡大の影響が、世界レベルで大きなダメージを与えていることが伺われ、米中摩擦など先行きの懸念材料が山積している。

繊維業界においては緊急事態宣言の解除後、小売業は営業再開を受けて6~7月売上は前月比80~90%前後まで回復している先も見られ、引き続きECを軸とした売上は堅調であった。しかし、業界の転換期を反映するようにヤングレディースブランドとして一時代を築いた「セシルマクビー」が年内で閉店を決め、パリコレにも参加していた「イッセイミヤケメン」ブランドも2020-21年秋冬シーズンで休止を発表した。

6月以降コロナ対策資金の活用が増加したことで資金繰りを維持し、倒産は小康状態を保っているとみられるが、コロナ禍で商談・契約が進まず、今後売上不足に陥る企業も増加すると予想され、予断を許さない。

業種別では、「小売商」「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」各6件、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」「その他」各4件、「織物卸」2件、「紡績・撚糸」「染色整理・特殊加工」各1件。 原因別では、「業績ジリ貧」が20件で83.3%を占め、「業況急変」3件、「資金力薄弱」1件。

2020年7月東海・中部の繊維倒産集計

件数は低水準続く、負債額は前月比減少

東海
  • 東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)
  • 発生件数=3件
  • 負債額=6憶5900万円

東海4県下の倒産件数は3件で、前月比で2件減少、前年同月比では2件増加となった。

負債額は6億5900万円で、前月比15億6500万円(70.4%)の減少となり、前年同月比では6億1400万円(1364.4%)の増加となった。

業種別では「小売商」が1件、「その他」2件。原因別では「業績ジリ貧」2件、「業況急変」1件となっている。

(株)丸榮商店(三重県伊勢市、カジュアルウエア小売、負債額4億2000万円)は、もともとインポートやプレタポルテの婦人服を扱っていたが、後カジュアル物にシフト。紳士・婦人カジュアルウエア、シューズ、バッグなどを扱って「SOUTH」「Angie」「richie」の店名で量販店内に多店舗展開。ピーク時には10店舗前後を運営し、2013/8期は年商11億6800万円を計上していたが、その後は競合激化から不採算店の閉鎖を余儀なくされ、資金面は、店舗運営費が重荷で銀行借入に依存した資金繰りが続く中、コロナ禍で店舗の休業や時短営業を強いられ、先行きの見通しが立たなくなった。


中部
  • 中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・富山・石川・福井・滋賀)
  • 発生件数=5件
  • 負債額=7憶4200万円

中部9県下の倒産件数は5件で、前月比2件減少、前年同月比では2件増加となった。

負債額は7億4200万円で、前月比15億3200万円(67.4%)の減少となり、前年同月比では5億3700万円(262.0%)の増加となった。

業種別では「小売商」3件、「その他」2件。原因別では「業績ジリ貧」4件、「業況急変」1件となっている。

東海4県以外では長野、石川で各1件発生した。

(有)シンセイ(長野県松本市、繊維製品小売、負債額5000万円)は、「絹工房 MATSUMOTO」の店名で、オリジナルの洋服やスカーフ、絹の靴下、アクセサリーなどを扱っていたが、規模的には零細で、近年低空飛行が続いていた。