2020年3月全国の繊維倒産集計

倒産件数は横ばい、負債額は100億円超、コロナの影響ジワリ

  • 発生件数31件
  • 負債額=109億円

2020年(令和2年)3月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は31件で、前月比で2件(6.1%)、前年同月比で11件(26.2%)それぞれ減少した。

負債額は109億円で、前月比69億8300万円(178.3%)増加したが、前年同月比では1億2900万円(1.2%)減少。負債額10億円を超える大型倒産は(株)シティーヒル(大阪市中央区、婦人服製造小売、負債額51億7700万円)と北日本物産(株)(新潟県燕市、ギフト・販促用品卸、18億9100万円)の2社。同5億円以上は高倉商事(株)(新潟県上越市、婦人服・洋品ほか卸、負債額6億6700万円)1社のみ。この3社で負債総額の約70%を占め、小規模倒産中心の状況に変化はない。コロナウイルス関連の倒産は訪日外国人を顧客としていた京洛和蒼(株)(京都市、貸衣装ほか、負債額1億5000万円)の1社。

(株)シティーヒルは積極的な多店舗化とブランド力を背景に業容を拡大し、ピーク時の2016/2期には約144億円の年商を計上した。反面で収益は赤字決算を散発し、財務の強化が進まず、余裕のない資金運営が続いて2020年には金融機関に支援を要請。これに伴い信用不安が広がる中、暖冬・新型コロナウイルスの影響も加わり、予定の資金調達や売上を確保できずに破たんした。

新型コロナウイルスの感染が日本国内はもとより世界中で拡大し、出入国制限、株価・為替の乱高下、ライフラインへの影響などリーマンショックを上回る経済危機の状態となっている。

消費動向についても、外出自粛要請を受けて百貨店をはじめとする小売業は時短営業・休日の臨時休業を迫られ、来客数が大幅に減少。この影響と中国生産の遅れ、春物の苦戦により、衣料品業界では前年対比で大幅な売上減少となっている企業もあり、相次ぐ展示会の中止で今後の商談も進まないなど、先行きに不安を抱えている。

また、7月開催を予定していた「東京オリンピック・パラリンピック」の1年延期が決定されたことで、関連する企業などへの影響も懸念され、国内景気は一層冷え込むものとみられる。

金融機関によるリスケなどで事業を継続している企業や借入依存度の高い企業が、コロナウイルスの影響により、さらに売上不足に陥ると資金計画に狂いが生じ、セーフティネットを申請しても間に合わず、破たんに至るケースも予想される。

業種別では「小売商」13件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」10件、「その他」4件で、以下「ニット製品・洋品雑貨製造卸」2件、「染色整理・特殊加工」「寝具・インテリア」各1件。

原因別では「業績ジリ貧」26件で全体の8割強(83.9%)を占め、以下「業況急変」3件、「貸倒れ損失」「資金力薄弱」各1件となっている。

2020年3月東海・中部の繊維倒産集計

件数は引き続き低水準、負債額は前月比で大幅減少

東海
  • 東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)
  • 発生件数=1件
  • 負債額=1億1000万円

東海4県下の倒産件数は1件のみで、前月比同数、前年同月比では4件減少となった。

負債額は1億1000万円で、前月比6700万円(155.8%)の増加となったが、前年同月比では26億9300万円(96.1%)の減少となった。

業種別では「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」、原因別では「業績ジリ貧」となっている。

(有)ヴァード(岐阜県各務原市、レザーウエアほか製造、負債額1億1000万円)は、紳士・婦人レザー製品を中心に扱い、自社及び国内の外注工場で製造。OEM受注主体に、デザイン性に優れた自社ブランド商品を展開するほか、「マサトモショップ」の店名で岐阜市内の繁華街に出店したこともあったが、高額商品の売れ行きが悪く、2年足らずで閉店に追い込まれた。ピーク時には2億円超の年商を上げていたが、ファストファッションが台頭するなど取り巻く環境が変化して先行きの見通しが立たなくなった。


中部
  • 中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・富山・石川・福井・滋賀)
  • 発生件数=3件
  • 負債額=1億8700万円

中部9県下の倒産件数は3件で、前月比1件増加、前年同月比では5件減少となった。

負債額は1億8700万円で、前月比1億3400万円(252.8%)の増加となり、前年同月比では61億3200万円(97.0%)の大幅な減少となった。

業種別では「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」2件、「小売商」1件、原因別では3件とも「業績ジリ貧」となっている。

東海4県以外では富山で2件発生した。

(株)かねこ(富山市、呉服小売、負債額3900万円)は、市内中心部にある総曲輪通り商店街に店舗を構え、過去には高岡市にも出店していたが、顧客の高齢化などで下降線を辿り、減収に伴って赤字決算を散発。多忙な資金繰りを余儀なくされていたところ、先行きの商況は好転しないと判断した。