2020年8月全国の繊維倒産集計

件数、負債額とも引き続き低水準

  • 発生件数27件
  • 負債額=43億7800万円

2020年(令和2年)7月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は27件で、前月比で3件(12.5%)増加したが、前年同月比では12件(30.8%)減少した。

負債額は43億7800万円で、前月比5億6200万円(14.7%)増、前年同月比では88億8700万円(67.0%)減少した。

負債額10億円超の大型倒産は、(株)池田地球(大阪市中央区、かばん・袋物製造、負債額20億円)の1社、同5億円以上も(株)池田工業(大阪府堺市堺区、かばん・袋物製造、負債額6億700万円)のみで、1億円以下の小規模倒産が大勢を占める結果となった。

(株)池田地球はランドセルメーカーとして著名企業で、ピーク時には50億円近い年商を計上していた。近年は大手量販店を含めたPB商品ほかとの競合で減収を余儀なくされていたところ、粉飾決算が発覚。2016年期はその処理もあって20億円の大幅損失を計上した。その後、金融機関のリスケ、不動産売却などで再建を図ったが、業況は回復せず、2019年に事業を他社に譲渡して解散し、債務整理を行っていた。

当月は夏休み、お盆を含む夏季休暇も、新型コロナウイルスの感染が再び拡大したことで消費者の外出自粛が一層進んだ。飲食・観光業界は不振に喘ぎ、巣篭り需要や通販事業者等一部の企業には恩恵があったものの、国内市況は大きく冷え込んだ。また、連日の猛暑が自粛生活に拍車をかけ、生活必需品・食料品を除くと、すべての分野で厳しい夏となった。

繊維業界もECサイトでセール対象の値ごろ感のある夏物衣料を中心に動きはあったが、コロナ禍での祭りやイベントの中止でゆかたや和装製品、さらに全国的な海水浴場の開設中止で水着など季節商品の売れ行きが大きく落ち込んだ。 8月28日安倍首相が健康上の理由で辞任を表明。2021年度の予算編成やコロナ・経済対策に遅れが生じる可能性もあり、国内景気の悪化が懸念される。決済の端境期である年末までは、例年倒産が落ち着く時期ではあるが、消費不振の中、アパレルの冬物受注状況は前年を20%前後下回っているものと聞かれる。売上回復の目処が立たず、コロナ融資資金も底が尽き、事業を断念する先があるものと予想される。

業種別では、「小売商」13件、「その他」5件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」4件、「染色整理・特殊加工」「ニット製品・洋品雑貨製造卸」各2件、「織物製造」1件。

原因別では、「業績ジリ貧」が19件、「業況急変」7件、「信用度薄弱」1件。

2020年8月東海・中部の繊維倒産集計

東海4県下の発生はなし、中部9県下でも4件にとどまる

東海
  • 東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)
  • 発生件数=0件
  • 負債額=0

東海4県下の倒産件数は0件だった。

新型コロナウイルス感染拡大が表面化して以降、4月に(株)ラビアンローゼ(静岡県浜松市、貸衣装ほか、負債額24億9900万円)が民事再生法申請したのをはじめ、6月には(株)ほの国百貨店(愛知県豊橋市、百貨店、負債額12億9700万円)と(株)ラブリークィーン(岐阜市、婦人服製造、負債額7億4900万円)が倒れるなど大型倒産が発生。8月も引き続き新型コロナ関連の影響に伴う売行き不振、受注キャンセルなど「業況急変」を要因とする破たんの増加が懸念されたものの、政府の支援対策などが一定の成果をあげているものとみられ、倒産の発生はなかった。


中部
  • 中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・富山・石川・福井・滋賀)
  • 発生件数=4件
  • 負債額=2憶4200万円

中部9県下の倒産件数は4件で、前月比1件減少、前年同月比では3件減少となった。

負債額は2億4200万円で、前月比5億円(67.4%)の減少となり、前年同月比では56億9000万円(95.9%)の減少となった。

業種別では「小売商」2件、「染色整理・特殊加工」「織物製造」各1件。原因別では「業況急変」3件、「業績ジリ貧」1件となっている。

東海4県以外では福井2件、石川、滋賀で各1件発生した。

(有)ショフル(滋賀県甲賀市、婦人服小売、負債額1億3000万円)は、ミセス向け婦人服店「セプテンバー」の店名で複数の店舗を構え、ピーク時には3億円内外の年商を計上していたが、出店費用の負担が重く赤字決算を散発し、財務は債務超過となっていた。