2018年9月全国の繊維倒産集計

件数は前月・前年同月増加も、大型倒産なく負債は減少

  • 発生件数42件
  • 負債額=46億4700万円

2018年(平成30年)9月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は9月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は42件で、前月比12件(40.0%)、前年同月比6件(16.7%)増加した。

負債額は46億4700万円で前月比87億400万円(65.2%)、前年同月比1億7500万円(3.6%)減少した。

負債額10億円を超える大型倒産は発生せず、5億円以上も0件で、3億円以上でも(有)辻が花(岡山県瀬戸内市、呉服ほか小売、負債額4億5000万円)、(株)吉野藤(東京都中央区、婦人服・洋品ほか卸、負債額4億円)、亜由美インターナショナル(株)(大阪市淀川区、婦人服・洋品卸ほか、負債額3億円)の3社にとどまった。 前月から一転して小規模倒産に終始したが、引き続き小売業者の倒産が高水準で推移、流通形態の変化に対応できない零細企業の破たんは続くものと見られる。

当月に注目されたのは(株)吉野藤の破たん。同社はもともと東京・堀留の有力問屋としてピーク時には350億円以上の売上を計上していたが、バブル崩壊後は業績不振と不動産投資に伴う借入負担から2001年(平成13年)2月に負債約110億円を抱え、民事再生法を申請した。以降もスポンサーはなく、独自で営業を継続して再生債権も弁済したが、減収に歯止めがかからず、赤字経営が慢性化。支払延期要請などで凌ごうとしたものの、結局2度目の破たんとなり、1875年(明治8年)創業から143年の幕を閉じた。

当月も台風21号、さらには胆振東部地震と相次ぎ自然災害が発生。台風で関西国際空港が被害を受け、関西地区は訪日観光や企業物流にも大きな影響を被り、地震により北海道も観光・農業のほか多大な損害を出すなど、非常に厳しい国内環境となった。

こうしたことを背景にインバウドを除き、実用品以外への消費意欲は減退、アパレルは店頭で夏物在庫セールを続け、ようやく当月後半に気温が低下して秋物商材も動きを見せたが、今年は暖冬傾向との予想も発表され、冬物商戦への不安も残している。

また、三越伊勢丹ホールディングスが3店舗の閉鎖を発表。百貨店はインバウドに支えられている都心部以外は地方郊外型店の不振が顕著となっており、今後も既存売り場の縮小が続くと、出店しているアパレル中心に業績への影響が懸念される。

業種別では、「小売商」16件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」11件、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」「その他」各4件、「織物製造」「織物卸」各3件、「寝具・インテリア製品製造卸」1件。

原因別では、「業績ジリ貧」が37件で全体の88.1%を占め、以下「業況急変」4件、「貸し倒れ損失」1件。

2018年9月東海・中部の繊維倒産集計

件数、負債額とも前月比で増加

東海
  • 東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)
  • 発生件数=6件
  • 負債額=6億2600万円

東海4県下の倒産件数は6件で、前月比3件増加、前年同月比では2件減少となった。

負債額は6億2600万円で、前月比5億5100万円(734.7%)と大幅な増加となったが、前年同月比で4億9500万円(44.2%)の減少となった。

業種別では「織物卸」「小売商」がそれぞれ2件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」「その他」がそれぞれ1件。原因別では「業績ジリ貧」が5件、「業況急変」が1件となっている。

小林商事(株)(名古屋市、負債1億4000万円)は大正10年創業の老舗で、手芸用品を主力とし、レース、ボタン、ファスナーなどの服飾付属品も扱い、特にレース、テープには自社オリジナルブランド商品「KSクランツ」で知られていた。東海4県下の小売業者や縫製業者を主体に販売し、ピーク時の昭和50年代後半には14億円台の年商を上げていたが、海外製品の台頭で需要が減少し、近年は赤字決算が多発。資金繰りの見通しが立たなくなっていたところ、ついに航行不能に陥った。


中部
  • 中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・富山・石川・福井・滋賀)
  • 発生件数=11件
  • 負債額=12億3600万円

中部9県下の倒産件数は11件で、前月比8件増加、前年同月比では1件増加した。

負債額は12億3600万円で、前月比11億6100万円(1548.0%)の増加、前年同月比では1000万円(0.8%)の増加となった。

横山編レース(石川県かほく市、負債1億円)は、化合繊糸や特殊加工糸を使用する婦人衣料向けレースを扱って北陸、関西地区の業者に販売、輸出も手掛け、平成9/12期には年商4億4700万円を確保していた。しかし近年は年商1億円強の横這い推移となり、銀行借入金の返済も重荷となっていたところ、資金調達も限界に達し、資金ショートした。