2022年のレーダー今週のレーダーへ

芽吹きの年に No.943

謹んで新年のお慶びを申し上げます。重ねて、本年も変わらぬご愛読と、倍旧の叱咤・ご鞭撻を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

今年の干支は「壬寅(みずのえとら)」。本来の干支は「甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)、己(つちのと)、庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)」の「十干」と「十二支」を合わせて「十干十二支」で表される。それぞれを組み合わせるとその数は60種類にも及ぶ。

干支の意味合いからすると今年は「躍動する」「新たなものが芽吹く」といった成長・変革の年となりそうだが、果たしてどのような一年になるだろうか。

ちなみに前回の壬寅にあたった1962年は流行性感冒(インフルエンザの一種)が東京で大流行し、さらに世界では旧ソ連とアメリカの間でキューバ危機が勃発している。新型コロナウイルスの感染拡大、さらにウクライナ問題で対立している欧米とロシアの緊張や、米中摩擦といった国際問題が取りざたされる今と状況が類似しているのは何かを暗示しているのか。さらに、その前の壬寅1902年は日英同盟が締結され、日本が第一次世界大戦に参戦するきっかけとなった年である。こう知るとまずは今年一年の無事を祈りたくなる。

さて、私たちを取り巻く環境はどう変わっていくのだろうか。コロナウイルスの感染拡大で、従来型のお客様とマンツーマンで販売する実店舗から、インターネットを通じて幅広い顧客をターゲットとした販売手法への転換が予想以上に進んだ。また、SDGsへの取り組みが重要視され、エコ・再生が大きな社会テーマとして横たわっている。今後、あらゆる在庫への風当たりがより強くなるだろう。また、原材料の価格高騰、コンテナ不足による物流コスト高も3~4月頃までは続くとも聞かれ、為替も円安含みの動きを見せており、特に中小企業にとっては厳しい向かい風に晒される可能性が高い。世界的に拡大傾向にあるオミクロン株の感染状況も気がかりだ。すでに多くの場面で自粛・我慢が限界を迎えつつある。対処すべき問題は山積みといっていい。

と、悲観的な事ばかりを並べたところで、物事は何も好転しない。私たち一人一人が心を強く保つことがより重要になるだろう。そのうえで、干支の通りに『厳しい冬を越えて、芽吹き始め、新しい成長の礎とする』 ――そんな年になることを心より願わずにいられない。

立春 No.944

二十四節気における“立春”が過ぎ、暦の上では春がはじまった。とはいえ、まだ寒さは厳しく厚手のコートが手放せない日々だ。

“冬来たりなば春遠からじ”という言葉がある。てっきり原典は中国の故事なのだろうと思っていたら、英国の詩人シェリーの長文詩『西風に寄せる歌』の一節だという。つらい時期を耐え抜けば、幸せな時期は必ず来るというたとえで、いまはコロナ禍を冬になぞらえて語られることも多い。

シェリーが生まれた英国は曇りの日が多く、冬は日照時間が短くなる。日光を浴びる時間が少ないとビタミンD不足となり、この影響もあって「冬季型うつ」になる人が多くなるなど、心身の不調を訴える人が増える。ビタミンDには骨を丈夫にする働きがあり、不足すると骨粗しょう症になるリスクが高まるという。また免疫機能を調節する働きもあり、摂取することで風邪やインフルエンザなどの感染症に抵抗する力もつけることができるそうだ。

日本に住んでいると、紫外線はシミやしわを作るお肌の大敵というイメージが強く、日傘や長袖でなんとか日差しを防ぐことばかりを考えていたが、日光を浴びることは私たちの身体に必要なのだ。欧米の人たちが少しの間でも日の光を求めて日光浴していたのは、ただ日焼けすることがカッコいいというだけではなかったのだ。

ところで、日本に住んでいるとはいえ、ビタミンD不足の心配がまったくないとはいえない。日本海側の日照時間が少ない地域はいうに及ばず、コロナ禍で家に籠る生活が続き外出をあまりしないという人も多いだろうし、車通勤で滅多に外を歩かない人も、知らないうちにビタミンD不足になってしまっている可能性がある。たとえ日光を浴びても、効果の高い日焼け止めをしっかり塗っていては、浴びたことにならないから要注意だ。

長引くコロナ禍でうつ病の人が増えていると聞く。外出制限や先行きの不安は、多くの人の心の健康に大きな影響をおよぼしている。経済的な問題など簡単に解決できない事柄も多いが、お天気の良い日は、外へ出て散歩をしてみよう。もちろん日焼けには気を付ける必要があるが、適度に日光を浴びることは身体にも良いし、日なたを歩けば前向きな気持ちになれるだろう。春はすぐそこまで来ている。

居酒屋の生ビール No.945

ビールメーカー大手4社の2021年ビール類販売数量は、各社とも前年の実績を下回った。キリンが4.1%、サッポロが4.4%、サントリーが8%のそれぞれ減。アサヒは売上ベースで4%減となった。市場規模は17年連続の縮小だが、そんななかにあって明るい話題としては『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』の大ヒットではないか。

一般的な缶ビールの小サイズは350mlだが、生ジョッキ缶の容量はなぜか 340ml。ジョッキを思わせる缶の蓋をフルオープンとし、開栓すると缶内部にシュワーっと泡が湧き出る楽しい仕掛けがある。飲み終わるまできめ細やかな泡が続き、もちろん味やキレのよさにも定評がある。店頭での販売価格はコンビニで210円から220円、スーパーは200円前後とそれほど割高感はない。家飲みスタイルを大きく変える商品だ。

昨年4月にコンビニでの先行販売を開始したが、泡が湧きあがる動画がSNSに出たことで人気に火がついた。ビール離れが叫ばれる若者層や普段ビールを飲まないという層まで巻き込んで、爆発的に売れたことから商品供給が追い付かなくなる事態に。発売2日後に早くも出荷を一時停止、6月に再発売したが、「1人3本まで」などと制限され、その後も数量限定で随時発売する形が続いていた。

「早く飲みたい」というニーズに応えるため、生ジョッキ缶は3月29日発売分から生産体制を大幅に強化する。年間製造可能数量を昨年比5倍に引き上げ、大びん633ml×20本に換算して約1290万箱、実数約2000万箱とした。また同時にリニューアルも実施し、缶の工夫によって開栓時の泡立ちをさらに向上させ、飲み口が泡で覆われるまでの時間を半減させた。缶体に「きれいな(泡)の楽しみ方」を記載しているのも面白い。

2021年度にヒットした食品を表彰する「第40回食品ヒット大賞」(日本食糧新聞社制定)の食品ヒット大賞に、『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』が選出されたのも、話題性や販売状況から当然の結果といえるだろう。食品ヒット大賞は1982年からスタートしたが、毎年受賞商品が出るわけではない。実際、2019年、2020年は「該当商品なし」だったが、3年ぶりに大賞に輝いたのも、味の追及ばかりではなく、わくわくするような商品開発へのアイディアがあったからだ。「居酒屋の生ビールを家庭で」という庶民のニーズに応えたことで、大ヒットにつながったのだろう。

寒い冬も終わり、弥生入り。そろそろビールがおいしい季節である。