2019年4月のレーダー今週のレーダーへ

「AIスピーカータイプ」 No.910

入社式を終え、社員研修や挨拶周りなどが行われ、ようやく今週あたりから実務へのスタートを切るというのが一般的な新入社員のタイムスケジュールだろうか。新元号「令和」が発表されたということもあり、経営者は期待に胸を膨らませる新入社員に新たな時代を意識したメッセージを送ったに違いない。

産労総合研究所が毎年発表している「新入社員のタイプ」によると今年の新入社員の特徴は「呼びかけ次第のAIスピーカータイプ」。AIスピーカーは搭載されている人工知能によって人の言葉を理解し音楽や動画の再生、ニュースの読み上げなどが可能な音声アシスタント機能を持つが、これを今回の新入社員のタイプに当てはめると「多機能だが、機能を十分に発揮させるためには細かい設定や別の補助装置が必要」ということらしい。最初は少々面倒だが、丁寧に育て上げ、環境を整備すれば素晴らしい機能を持つ人材になるとの期待が込められている。

こうした中で、4月から「働き方改革関連法」が施行されている。長時間労働の是正に向け、残業時間の上限規制や有給休暇の取得義務などが盛り込まれており、残業時間の上限は原則1カ月45時間、1年間で360時間に規制され、繁忙期など特別な事情があっても残業時間は最長で1カ月に100時間未満、1年間で720時間とされ、これを超えた場合の罰則もある。また年間の有給休暇が10日以上の社員には5日の有給休暇取得が義務付けられるのは承知の通り。

休むことばかりクローズアップされているが、働き方改革は少ない労働人口で生産性を保つことを目指している。確かに労働時間の短縮や休日の増加で気持ちに余裕ができるが、マンパワーの少ない零細・中小企業にあっては課題もある。人手不足の中で、社員数が変わらないなら、短い時間でこれまで以上の成果を上げなければならず、さらに賃上げに伴う人件費の高騰が重なると、収益を圧迫するなどの現実がある。

生産力はあるが、時間当たりの労働生産性は低いと言われる日本。これまで会社は、数字や結果を評価することはあっても「その結果を出すのにどれくらい時間を費やしたのか」というスピードの観点は含まれていなかったのではないか。

モチベーションを最大に高めて、決められた時間内で結果を出す。多機能なAIスピーカーをフル活用するためにも斬新なチューニングが必要だ。

ノートルダム大聖堂 No.911

ノートルダム大聖堂が燃えている。4月16日の朝、ニュースで大聖堂が炎に包まれている光景を見て驚いた人も多いだろう。空にそびえ建つ尖塔が崩れ落ちる様を目の当たりにして、パリ市民のみならず、ライブ映像を見ていた世界中の人々が嘆き悲しんだ。

ノートルダム大聖堂はフランスの首都、パリのシテ島に建つ聖母マリアに捧げられたカトリック教会で、ゴシック建築を代表する荘厳な建物。バラ窓と呼ばれる美しいステンドグラスで有名なパリを代表する観光名所でもある。セーヌ河岸から眺める景観もすばらしく、世界遺産にも登録されている。

約7割がカトリックを信仰するフランス人にとって、ノートルダム大聖堂は精神的支えであり、宗教が違ったとしても、パリに住み大聖堂を眺めて暮らしていた人々にとって大切な場所であっただろう。ただ1度訪れただけの観光客であっても、特別に感じていた人は多いはずだ。

わたしたちは、今まで大災害や人的ミス、そしてテロなどで建物や自然が失われるのをたくさん見てきた。形あるものはいつかなくなる時がくるとわかっているはずなのに、いつまでたっても突然の出来事に慣れることができない。

同じ日、熊本地震の本震から3年を迎えた。地震で大きな被害をうけた熊本城は、被災当時、石垣が崩れ、飯田丸五階櫓を支えるのは隅石1本のみという危機的状況に陥っていた。いまにも崩れそうな城を見て、熊本城を仰ぎ見て日々暮らしていた熊本市民はどれほど不安な思いだっただろうか。その後、天守閣には鉄骨が組まれ、クレーンを導入し復旧作業が開始されたが、3年たったいま1階を除く外壁と石垣の修復作業が完了、10月には広場の規制が解除され天守閣を間近で見ることができるようになるそうだ。熊本地震の復興のシンボルともなった熊本城が復旧していく姿は、復興に取り組む被災者の方々を元気づけてくれるに違いない。

いつもそこに在ったものが無くなってしまう時の喪失感は計り知れない。が、終わりは新たな始まりでもある。ノートルダム大聖堂の修復はたいへんな作業になると予想されるが、マクロン大統領は5年以内にさらに美しく再建すると表明。多額の寄付も寄せられ、早くも再建への動きが始まっているようだ。

悲劇が希望に変わり、再び聖堂の鐘が鳴る日が来るのを願ってやまない。

転売対策 No.912

4月18日、東京オリンピックのチケット販売方法が発表され、観戦への期待が高まってきた。連休明け、5月9日から始まるチケットの抽選申し込みの前に、公式販売サイトへの登録を済ませた人も多いのではないか。 史上最多の33競技、339種目が行われる今回のオリンピック。開会式はもちろん、観戦してみたい競技を、チケットの値段や日程を鑑みながらサイトを眺め始めたものの、画面の煩雑さに戸惑った。半世紀ぶりに東京で開催される大イベントではあるが、競技によっては今の段階で対戦カードが分からない競技も多く、「何が何でもこれを観たい」というものでもない限り、一年以上先の予定をいま立てるのはなかなか難しい。 今回の抽選では、購入したいチケットの第1希望、第2希望合わせて60枚まで申し込みが可能で、最大で30枚当選する。しかし抽選前にどれだけ当選するのか予測できないため、もし予想以上に沢山のチケットが当たった場合には全て購入する、もしくは全てをキャンセルするという選択肢しかない。この事から抽選の結果によっては、不要なチケットを転売したい人が増えていくものと予想される。 最近では、転売対策を兼ねて、広島カープが加熱するチケット争奪戦を避けるべく抽選制を導入したものの、抽選券を求めてファンが殺到し、長蛇の列を作っても手に入れられなかった騒動が記憶に新しい。 過去の大会の教訓から、東京オリンピックの大会組織委員会はチケットの不正転売対策に力を入れているのが窺える。観戦チケットの抽選に当選し購入した時点で、そのチケットには観戦者の氏名が登録されるが、もし購入後に行けなくなり知人などに譲る場合は、観戦者の変更が事前に必要になるらしい。今回のオリンピックでチケットの転売に対して、ほかにどのような策を打つのだろうか。 不要となってしまったチケットを定価で転売できる公式のリセールサイトが20年の春に開設されるとの話も聞こえてくるし、すでに、メルカリ、ヤフオク、ラクマではオリンピックチケットの出品禁止が決定している。 チケット転売の撲滅が容易でないのは想像に難くない。それでもオリンピック観戦を心から望む多くの人にチケットが行き渡り、不正転売問題の解決の一助となって欲しいものだ。