庶民にはささやかな「お年玉」になった。「すき家」「吉野屋」「松屋」の牛丼チェーン大手3社が、11日~17日もしくは18日の短期間限定にせよ、一斉値下げに踏み切ったことだ。消費低迷下、客を呼び込むため、牛丼業界のみならず回転寿司や居酒屋チェーンなど飲食業界を中心に、体力ギリギリの値下げ競争が繰り広げられている。 そうした厳しい環境下だからよけい、一方でオリエンタルランドが「東京ディズニーランド」「東京ディズニーシー」の入場料の「値上げ」を発表したニュースは、多くの企業に羨望の話題として受け止められた。個人向け主力チケット「1デーパスポート」を、4月23日から現行5800円から6200円へと400円値上げするという。 テーマパーク業界も、全体では入場者の減少が深刻な厳しい不況下にある。このため、旅行大手HIS傘下で経営再建中の長崎県佐世保市「ハウステンボス」は去年、入場料(大人・通常期)を3200円から2500円に下げ、東京・後楽園「東京ドームシティアトラクションズ」も中高生向け1日利用料を500円値下げして3500円にした。 そんな中でオリエンタルランドが「値上げ」に踏み切ることができたのは、入場者数が引き続き安定しているからだ。両園合わせた2010年上半期(4~9月)入場者数は1295万4000人。前年同期より65万3000人増え、史上2番目になった。天候に恵まれたことに加え、「新イベントが寄与した」もので、同社は「引き続き新企画を展開することによって、値上げしても集客へのマイナス影響を吸収できる」と強気だ。 オリエンタルランドの好調からは、マーケティング理論にいう「1:5の法則」と「5:25の法則」という2つの法則を思い出す。「1:5の法則」は「新規の顧客に販売するためのコストは、既存顧客に販売するコストの5倍かかる」、「5:25の法則」は「顧客離れを5%改善すれば、利益を、最低でも25%改善できる」というもの。この2つの法則から導き出される答えは、「同じコストをかけるなら、新規開拓より既存顧客の維持に投じたほうが利益は改善しやすい」ということだ。 オリエンタルランドは、顧客満足度を徹底的に追求し、その高水準を維持し続けることによって、85%とも97%とも言われる驚異的なリピーター率を実現し、投資対効果における好循環をもたらしている。そんな同社の戦略に学ぶべき点は多い。 自社の既存顧客を、つまり「足元」を、いま一度じっくり見直すことが大事ではないか。 |
コラムバックナンバー |
What's New | トップ |
|
会社概要 | ||
営業商品案内 | ||
コラム | ||
大型倒産 | ||
繊維倒産集計 |