7月1日から、中国人向け個人観光ビザの発行要件が大幅に緩和された。 中国から日本への観光旅行は2000年に解禁され、団体旅行客に対してのみ観光ビザが発給されるようになった。昨年7月からは、観光ビザは年収25万元(約330万円)以上の富裕個人客にも発給されるように要件が緩和されていた。 その第2段階ともいうべき今回は、1、大手クレジット会社のゴールドカードを持っている 2、官公庁や大企業の課長以上のポストに就いている 3、年収3~5万元(約40~60万円)程度の安定収入がある――こと等を条件にビザの発給が認められる。この結果、発行対象はこれまでの約10倍の1600万世帯に増えると外務省はみている。 昨年、日本を訪れた中国からの団体・個人旅行客は101万人。ただし「旅行客」とは言っても、その目的は「観光」ではなく、むしろ「買い物」だ。日本政府観光局の調べによると、中国人旅行客はお土産代に1人平均11万7000円を使う。これは欧米からの旅行客が使う金額の倍以上。おかげで東京・銀座の百貨店や秋葉原の家電量販店ではいま「中国人特需」ともいうべき活況を呈している。 全国百貨店協会は一昨年「外国人観光客誘致部会」を設置した。加盟20社(40店舗)を対象にした売上高調査によると、外国人観光客による5月の売上高は免税手続ベースで15億2166万円。前年同期比57.1%の大幅増だ。しかも主力の化粧品、食品等は免税手続き対象外で集計に含まれていないから、実際の売上高はさらに大きい。 1人当たり購買額は5万8391円。人気商品は1位=高級婦人服、2位=カルティエ、グッチ、シャネルなどブランド品、3位=靴、革小物と、いずれもリーマンショック以降、国内消費の落ち込みが大きかった商品群。同時に、女性商品が上位を占めている点には、「日本だけじゃないのか」と紳士諸兄は苦笑いするのではあるまいか。 中国による買い物は、個人客による高級品や家電製品に限らない。中国企業による「日本企業買い」も加速している。スキー用品のフェニックス、秋葉原の家電量販店ラオックスは中国企業に買収され、かつて日本を代表するアパレルメーカーだったレナウンも中国の繊維大手・山東如意集団の傘下に入る。 中国による「日本買い」を喜んではいられまい。日本経済をどう建て直すのか ―― 街を走る選挙カーのスピーカーから、そのテーマが聞こえてこないことに落胆するばかりだ。 |
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