お馴染みイソップの「ウサギとカメ」。ウサギに歩みの鈍さを馬鹿にされたカメが、かけっこの勝負を挑んだ。かけっこを始めると、案の定、ウサギはどんどん先へ進み、カメの姿が見えなくなった。そこでウサギは、カメが追いつくまでと昼寝をした。すると、その間にカメは着実に前に進み、ウサギが目を覚ましたときにはカメはゴールしていた――この寓話には、思い上がりを諌め、何事も油断してはならないという教えが込められているが、この話をさらに深読みすると、次のような見方もできる。ウサギが負けたのはライバルを意識しすぎた結果、ゴールに辿り着くという本来の目的を忘れてしまった。一方、カメはライバルのことなど眼中になく、ただ一つの目標に向かって進んだ。あきらめず、持てる力を発揮して目標を目指したことで勝つことができた、と。 経済社会において、ライバル企業との競争は絶えることがない。 日経新聞が7月27日付朝刊に掲載した2008年の「主要商品・サービスシェア調査」の結果によると、国内100品目のうち11品目でトップが交代した。これは03年の13品目以来の多さだという。その一部を紹介すると、ブルーレイ・ディスク録画再生機ではこれまで技術開発で先行したソニーが一人勝ちだったが、長時間録画など利便性を高めたパナソニックに首位を明け渡した。さらに、デジタル一眼レフカメラは、高機能を備えながら価格が10万円を切るモデルが好調だったキヤノンがニコンを抜き、片やインクジェットプリンターではセイコーエプソンがキヤノンから首位を奪還した。 これらの業界に限らず、新技術によって生まれた製品や安価で良質な商品は、ライバル同士が競い合ってこそ生まれる。ライバルの存在は企業を成長させる原動力の一つだ。そのうえで大切なのが、ライバルとの勝負に勝ってなお挑戦する気概を持ち続けることである。ライバル心を失わず、切磋琢磨する姿勢が消費者の支持につながる。 さて、先の「ウサギとカメ」には続きがあると知った。カメに負けたウサギは「恥さらし」と仲間から追われる。一方で、追い出したウサギたちは、天敵であるオオカミに「腹が減ったので子ウサギを差し出せ」と脅されていた。そこで追放されたウサギは、「オオカミを撃退できたら仲間に戻してほしい」と頼み、知恵を絞って見事にオオカミを退治し名誉を挽回するというのだ。これを企業社会に照らせば、たとえ競争に負けても、挽回の余地は充分にあるということだろう。要は、どう知恵を絞り出すかである。 |
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