自分が住む地域で今後30年間に「震度6弱以上」の地震が発生する確率を、すでにご承知だろうか。文科省地震調査研究本部がネット上に開設している「地震ハザードステーション」に市区町村名や駅名、路線名を入力して検索すれば、今年1月1日を基準にした今後30年間に、それぞれの地域で大地震が発生する確率が示される。 ちなみに名古屋市37.6%、一宮市25.1%、岐阜市8.1%、岡崎市63.4%、浜松市82.5%、静岡市86.7%、金沢市1.0%、富山市2.5%、長野市5.8%、札幌市0.5%、東京都11.4%、大阪市23.2%(いずれも市役所所在地)等々。「東海地震」が心配されている静岡県下各都市の、突出して高い確率が注目される。 ただし、今後30年間での「確率」はおおよそ分かっても、では、いつ大地震が起きるかの詳しい時期を予測することは不可能とされる。現に先月14日の「岩手・宮城内陸地震」で「震度6強」を観測した岩手県奥州市の、「地震ハザードステーション」による確率はわずか0.9%だったし、同様に被害が大きかった宮城県栗原市も2.4%にとどまっていた。確率が低くても決して油断できないところが地震の恐さだ。 「ちゃっかり過大評価・うっかり過小評価」という表現を、統計学者・鈴木義一郎氏は用いる。人は「確率」を考える時、自分にとって都合のよい事柄では本当の確率よりも過大に評価して考え、不都合な場合は過小に評価する傾向がある。 分かりやすいのが宝くじで、1等当選の確率は約1000万分の1。他方、交通事故に遭い死亡する確率は、鈴木氏によれば「70歳まで生きた場合、計算上は143分の1」になるそうだ。後者の確率がずいぶん高いにもかかわらず、誰もそう思っていない。 「確率の錯覚」にはこんな例もある。抽選番号がたとえば「178036」と「111111」という2枚の宝くじを目の前に差し出された時、どちらを選ぶか? 大方の人は前者を選ぶはずだ。しかし、その「確率」は本来、両者とも変わらない。それなのに「ゾロ目の宝くじなど、さらに当たる気がしない」という、根拠のない思い込み=錯覚に惑わされ、選択を決めてしまうことが多い。ちなみに昭和63年(1988年)8月23日抽選の第136回近畿宝くじでは、1等の当選番号は「09組」だが「111111」だった。 「ちゃっかり評価・うっかり評価」――もちろん「確率」の話に限らない。根拠のない情報に惑わされて判断を誤ってはいないかと、時折り省みる気持ちが必要だ。 |
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