2010年開催の「平城遷都1300年祭」に向けて奈良県が決めたマスコットキャラクター「せんとくん」。しかし坊主頭からツノが生えたデザインが、市民からは「気持ち悪い」、寺院団体からは「仏さまを侮辱している」と批判を浴びた挙句、市民団体が一般公募による別キャラクター「まんとくん」を発表するなど、混乱を招いている。なるほど「まんとくん」のほうが無難なデザインだが、一連の騒動でマスコミに報じられた経済効果は15億円だそうだから、「せんとくん」の功績もすでに大と言えそうだ。 一方、経済効果16億7000万円と評価されているのは、7月8日での閉店を発表した大阪の名物食堂「くいだおれ」の「くいだおれ太郎」。「譲ってほしい」という引き合いはすでに100件を超すというから、創業翌年の1950年から店頭に登場して以来五十余年、道行く人々の目を楽しませ続けた貫禄と実績はさすがである。 最近、マスコットキャラクターに関する話題が賑やかしい。が、人気の高さならいま「ナンバー1」は、プロ野球・中日ドラゴンズのマスコット「ドアラ」だろう。 コアラをイメージしたその顔は、いわゆる「キモかわいい」系。どことなく「疲れたサラリーマン」風の風情が漂い、時々場違いで意味不明の動きもする。そのためか、1994年にマスコットになったものの、2007年のナゴヤドーム完成と同時に新マスコット「シャオロン」「パオロン」が登場した際は、あやうくリストラされそうになった。 しかし、周囲を気にしない自由奔放な振る舞いが面白いというので、昨年「日経エンタテイメント」誌の「勝手にエンタ!大賞・あまりに自由過ぎるで賞」を受賞。これで他球団のファンだけでなく野球ファン以外にも人気が広がった。今年3月には自著「ドアラのひみつ」まで出版したが、発売前のネット予約で注文が多かったため、初版からいきなり7万部を刷ったその売れ行きは、現在10万部を超えているそうだ。 本の中で「ドアラ」は、苦境に立たされた当時を振り返っている。「かなりやばかったですね。でもね、そんななかでダンスの前の連続バク転の回数をどれだけ増やせるか?っていうことに挑戦したりして、ちょっとずつ自分の居場所をつくっていきました。あの頃の自分を思い出すと、思わず目頭が熱くなってしまいます……。」 だから「ドアラのひみつ」の副題には、こうある ――「かくさしゃかいにまけないよ」。 そう、彼を見習い、お互いがんばりましょうよ、自分の居場所を、自分で作りながら。 |
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