「組織はサンマと同じ。頭から腐る」――アルプス技研創業者・松井利夫氏。 作家・村上龍が司会する経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)が、21日放送「よその社長はいいこと言うなぁスペシャル」で第2回「社長金言大賞」とかを発表していた。これまで番組で放送した経営トップインタビューから、彼らが口にした10の金言をノミネート、視聴者投票で選んだもので、冒頭はその大賞を受賞した松井氏の「金言」。「組織は頭から…」――なるほど、ズバリ言い切っていて胸がすく。 けれども――。「よくぞ代わりに言ってくれた」という、サラリーマン諸氏の日頃の鬱憤が投票につながったわけでは、必ずしもなさそうだ。翌日この話題に早速触れた個人ブログなどで、「この言葉は、経営者が自ら口にするからこそ意味深い。さすがに松井氏だ」などという書き込みが、意外に多かったのだ。同感である。 故郷・新潟県から18歳で上京し、下町の工場で働きながら専門学校に通い、25歳で起業。さらに艱難辛苦を乗り越えて、会社をいまや東証一部上場を果たすまでに育て上げた松井氏。メカトロニクス全域の大企業に技術者を派遣する先端分野の、しかもそのトップを走る企業であるにもかかわらず、アルプス技研では、新人研修に、かつて盛んだった軍隊式のいわゆる「地獄の特訓」を現在も採り入れている。そればかりか、その前時代的ともいえる過激な研修を、幹部社員や役員のみならず松井氏自らも定期的に受講し、講師からボロクソに怒鳴りつけられる屈辱を厭(いと)わない。 「人間という生き物は勘違いが多い。『プライド』と思っているものが実は単なる『わがまま』だったり、『自信』と思っていることが実は『過信』であったり、『優しさ』だと思っていることが『甘やかし』であったり――。そういったものを一度リセットして、何が社会人として正しいことかを把握させることが、社会人になる人に対してはまず必要だと思う」と松井氏。そんなリーダー自身が口にする「組織は頭から…」の言葉だからこそ、多くが納得して認める「金言」なのだ。 職員が3年間で10億円も横領していたことを気付かなかったそうだ。本社中核部門の社員がインサイダー取引していたのを逮捕直前まで知らなかったそうだ。 一体どれがどの映像だったか混乱して分からなくなるほど、組織トップが揃って謝罪する会見をほぼ毎日見せられる。全員まとめての「地獄の特訓」送りが、悲しいかな、必要らしい。 |
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