新聞に掲載されている記事のほとんどを各紙のWEBサイトで見られる時代になった今日。しかし、いまでも紙面を広げなければ読めないのが「読者投稿欄」だ。その投稿欄の、「内容」は当然ながら投稿者の「年齢」や「職業」にも世相が映る。 全国大手3紙と地元新聞の、最近1週間の投稿者を集計してみた。年齢では1、70代22% 2、60代20% 3、50代15%の順で、80代以上を合わせると60歳以上が48%とほぼ半数を占める。職業別では1、無職28% 2、主婦24% 3、会社員・公務員など16%の順。 手間が掛かるので過去との比較を諦めたら、どっこい、その経年変化を調べてくれていた人がいた。それによると、昭和30年は1、主婦16% 2、会社員10% 3、学生10%だったのが、60年には1、主婦21% 2、無職14% 3、会社員9%になり、平成7年にはさらに1、無職・主婦各17% 3、会社員7%という割合と順序になった。60歳以上の無職――つまり「年金生活者」と主婦が、いまや新聞投稿欄の「主役」なのだ。 ただ、早い話は「無職」であるのにそうとは書かず「年金生活者」とか、中には「元教員」とか「元会社役員」などと自ら書いて寄せる投稿者も少なくない。 「でも、『元』っていうのは反則ですよねえ。中には『前市議』という投書もありました。いつまで過去の栄光にしがみついてぶら下がっていたら気がすむんですか。あんたはターザンか」と、きついツッコミを入れているのは、先の数字を調べてくれていた、その書名も「つっこみ力(りょく)」の著者パオロ・マッツァリーノ氏である。 ほかに「反社会学講座」「反社会学の不埒な研究報告」などの著書があるパオロ氏。独得の視点で日本社会の矛盾や不合理を鋭く衝く彼の切り口は実に痛快だが、ばかりでなく、さまざまな示唆を含んでいるから、読後に考えさせられる。たとえば――。 「日本の憲法も、信じられないほど愛が欠けてます。国民が税金払うことが義務だって書いてあるんです。国民を愛してもいないくせに、片想いの相手にカネを貢がせるなんて、性悪女のすることです。そういう悪いことを、小学校の社会科で国民の三大義務とかって教えるから、自己中心的な子供が増えるんです。そのくせ、税金使うほうの義務は一言も書いてないもんだから、公務員や議員先生は税金のムダ遣いをし放題です。日本では、納税は義務で、ムダ遣いは権利なんですね」 であるならばどうするか――の答えまでは書かれていない。考えましょう、私たちで。 |
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