サッカー日本代表MF中田英寿(イタリア・セリエA、パルマ)が7月、経営再建中の菓子メーカー・東ハトのブランド戦略作りを担当する執行役員「チーフ・ブランディング・オフィサー」(CBO)に就任。商品開発、事業戦略などに参画している。 東ハトは、「キャラメルコーン」「ビーノ」などで知られるスナック菓子メーカーの大手。ところが、オーナー一族の元社長がバブル期にゴルフ場開発に手を染め、これが経営を圧迫。自主再建を断念し、今年3月、民事再生法を申請した。 その後、本業の菓子事業は堅調だったため、ゴルフ場関連事業と菓子事業を分離し、企業再生ファンドのユニゾン・キャピタルと玩具大手のバンダイ、大手商社の丸紅などが出資する新会社に菓子事業を営業譲渡して誕生したのが新生・東ハトだ。そして、ユニゾン・キャピタルで東ハトを担当していた36歳の木曽健一氏が社長に就任した。 木曽氏が最初にしたことは、希望する者は全員新会社に受け入れることだった。しかし、倒産の経験とその前の1年間にわたる内紛劇などによる社内の混乱で、社員は疲弊し、モチベーションを落としていた。このため、新しく生まれ変わった東ハトはどうあるべきかというメッセージを社員に送ると同時に、自らも営業の現場に立って担当者と取引先に頭を下げて回るといった行動を起こし、社員を鼓舞した。さらに、自分とともに社員を引っ張っていく力を外部に求めた。そこで目をつけたのが、チャレンジすることやチームワーク作りの大切さを体験している中田英寿だった。 早速、マネジメント事務所に連絡を取り、本人が5月中旬に帰国した際に就任要請したところ快諾。年俸1,200万円の3年契約で、取締役会の承認を経て正式就任した。 中田は、イタリア滞在のため、執行役員の1人として月に数回のテレビや電話による会議に加え、インターネットで経営方針を論議することで、経営をアシスト。社員とも、メールを使って交流を図っている。また、CMなどには一切出ないことで、単なる話題作りではないことを打ち出している。 初仕事となった「キャラメルコーン」のリニューアルプロジェクトでは、中田の意見を採り入れた新パッケージが誕生。売れ行きは、「中田効果」で上々のようだ。 「バブルのツケ」で再建を強いられる企業が多いなか、東ハトの姿勢は異例。果たして、中田は経済界でも「名司令塔」になり得るのか――。「試合」は始まっている。 |
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